「ビジネス需要は戻らない」 5100億円赤字見通しのANAホールディングス、コスト削減と新需要獲得へ:大型機を大幅削減へ(2/3 ページ)
ANAホールディングスが発表した2021年3月期の連結業績予想は、過去最大の5100億円の最終赤字となる見通しだ。危機を乗り切るための事業構造改革では、機材の削減などによる大幅なコスト削減を図る。「強靭な企業グループに生まれ変わる」ための施策を急ぐ。
「コロナのトンネルを抜ける」ための大型機削減
決算と同時に発表した「新しいビジネス・モデルへの変革」の計画では、「コロナのトンネルを抜ける」(同社)ための一時的な事業規模縮小案を示した。施策によって、21年3月期に約1500億円、22年3月期に約2500億円の費用削減効果を見込む。
固定費などのコスト構造を見直し、大型機を中心に機材を削減。ANAでは、当初から退役予定だった7機に加えて28機を早期に退役させる。大型機では、ボーイング777型機計22機が退役となるほか、エアバスA380型機1機とボーイング777型機1機の受領を延期。計24機の大型機を削減する。
LCC(格安航空会社)ブランドのPeach(ピーチ)では、2機の導入予定をゼロに変更。21年3月期末時点のグループ全体の機材数は276機となり、当初計画からは33機の削減となる。
また、人件費の削減も図るが、業務の内製化や外部への出向などにより、雇用をできる限り維持する方針だ。
外部に委託していた航空機の整備作業や空港業務などを内製化するほか、グループ内の人員配置の変更で効率的な体制を構築する。さらに、グループ外の企業へ社員を出向させ、コールセンターやホテルのサービス業務、企業の受付・事務・企画業務などを担ってもらう。12月までに約10社に100人程度を出向させる予定で、21年春には400人以上に拡大するという。
加えて、役職者の報酬や賃金の削減、希望退職者募集、休業・休職制度の拡充、21年度の新卒採用中止などによって、人件費抑制を図る。
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