鉄道会社の終電繰り上げは「必然」、これだけの理由:コロナ以前からの課題(2/4 ページ)
コロナ禍で利用者が減少し、鉄道各社の決算見通しが悪化している。10月下旬以降、各社が来春のダイヤを公表し始めたが、揃って「終電繰り上げ」を表明。原因として、コロナ禍による利用減少が浮かぶかもしれないが、実はそれはきっかけに過ぎない。鉄道業界では、以前から終電繰り上げが検討されていたのだ。
コロナ禍と絡めて、大幅繰り上げを発表したJR東日本
10月21日には、JR東日本が終電繰り上げの概要を発表した。その後28日に、公式ホームページに「2021年春 首都圏における終電繰り上げ等のお知らせ」を掲載。JR東日本が終電を繰り上げた理由が、このお知らせにかなり詳しく書かれているので見ていこう。
まずは深夜帯の利用者数の減少だ。例として挙げられているのは、山手線の上野〜御徒町間の利用状況で、終日で32%、0時台で40%も減少しているという。首都圏の主な路線でも、利用者はおよそ30%減少しているという。
鉄道工事を取り巻く環境が変化したことも理由に挙がっている。生産年齢人口の減少により線路保守作業員も減少したことで、現在およそ7000人いる保守作業員は、30年には10〜20%減少。にもかかわらず現在の工事量は、2010年比で10%増加しており、人材確保に向けた働き方改革が必要になっているという。
工事の効率改善のために導入した保守用機械は、現在のところ準備面や実作業面で、手作業の工事より時間がかかっていた。終電を繰り上げ、始発を繰り下げることで、機械での作業時間を増やし、効率的に作業ができるようにするという。
またホームドアやバリアフリー設備といった、安全やサービス向上のための工事を効率的に進めるためにも、作業の近代化や機械化が必要だとしている。
実際の終電繰り上げは、路線によって異なるが15分から37分程度。東京着の最終新幹線からの乗り継ぎで到達できないエリアも出てくる。
この動きを見て、私鉄各社はどう動いたか。
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