「炎上」と「改革」で4000億円企業に コロナバブル後に真価が問われるZOZO:数字で見る2021年注目企業(2/3 ページ)
サービス開始からわずか17年で商品取扱高が約22倍以上に伸びたZOZOTOWN。急成長できた背景とコロナ禍でも成長し続ける強みを著者の磯部孝氏はこう分析する。
創業23年で商品取扱高4000億円も視野に
ZOZOTOWNの痕跡を振り返って感じるのは、多くのTry&Errorの積み重ねによって現在の姿があることだろう。これは創業オーナーの強みを十分に発揮したともいえる。
2回目のチャレンジとなる海外進出や、大型商業施設からのバッシングを受けたショールーミングサービスへの取り組み、オンライン2次流通へのチャレンジ、出店ブランドの離反を招いた社会循環型割引サービス、採寸用ボディースーツの無料配布やプライベートブランドなど。
もちろん、本業の成長という支えがあったからこそできたことで、俊敏なフットワークの軽さと実行力によって、創業から23年という短期間に、商品取扱高では4000億円も視野に入る国内最大級のファッション・ポータルサイトにまで育った。
ZOZOTOWNの特徴の1つに高い営業利益率がある。直近の決算でも21%、さかのぼれば5期連続して30%以上の高利益率で推移している。商品作りをしているアパレル小売り企業と比べても在庫リスクが生じないため、値下げや在庫処分も無い。ましてや実店舗の固定費が掛からないのだからから当然といえば当然。
それに加え、独自の物流拠点である「ZOZOBASE」を開設。通常の物流機能に加え写真撮影や編集、レイアウトなどの業務まで代行することによって高い受託手数料率が設定できる。この高収益モデルを元手に広告や送料無料キャンペーンを展開して、創成期時代の顧客開拓を進めてきた。
2010年にはEC支援事業にも進出。ユナイテッドアローズなど、他社のECサイトの構築事業にまで乗り出した。東証一部に上場した12年には、送料無料サービスを巡って創業者の前澤友作氏のTwitterが炎上。増え続けるネットショッピングの配送に掛かる作業負担や、配達員の待遇にまで注目が集まり社会問題にもなった。
この送料負担を巡っては、後の有料会員サービスの「ゾゾプレミアム」「ゾゾプラチナム」に引き継がれることになる。もともとこの有料会員サービスのビジネスモデルはアマゾンジャパンが07年からスタートした「アマゾンプライム」を参考にしたものと考えられるが、送料負担はネットビジネスにおいて肝とも言えて、楽天市場でも出店者が公正取引委員会に訴えたのも記憶に新しいところだ。
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