日本が「世界の下請け工場」になる日――2021年、「曲がり角」に立つ2つの産業とは?:24時間営業、垂直統合をどう変える(1/4 ページ)
2021年、曲がり角に立つコンビニと自動車産業。コロナ禍の影響もあるが、長らく続く伝統的なビジネスモデルの歪な構造が明らかになり、刷新する必要性が出てきている。両産業にはどんな課題があり、どう立ち向かうのか。
2020年から引き続き、コロナ禍を大前提とした21年がスタートしました。約1年に及ぶコロナ禍のビジネス環境で、目先ではテレワークやらオンライン化やらいろいろな変化が現れましたが、ビジネスそのものが曲がり角にある産業については、本年が大きな変革の年になるのではないかと思っています。今回は、年初に際して筆者が個人的に気になる2つの「曲がり角産業」を取り上げ、変化対応のポイントとなる点を探ってみたいと思います。
歪な構造が明らかに 公取委にもにらまれたコンビニ業界
真っ先に思い当たる曲がり角産業が、コンビニエンスストア業界です。2年ほど前に「フランチャイズ店舗オーナーの反乱」として話題になった24時間営業拒否に端を発したコンビニ改革騒動でしたが、単なる働き方改革的な「フランチャイズ本部対店舗オーナー闘争」にとどまることなく、これに派生して次々とコンビニ経営がはらむ不合理が明らかになりました。すなわち、その誕生から約半世紀を経て、24時間営業を基本とした利便性強調のビジネスモデルが、もはや時代に取り残されつつあるという実情が明確になったわけです。
問題の根深さゆえに、各社が時間をかけてオーナーと協議しつつ解決策を見いだそうとしている状況を、コロナが襲いました。オフィスや観光地での需要激減で、売り上げは大打撃。住宅地においても在宅比率の高まりでスーパーの営業時間内消費が増え、売り上げがそちらに奪われるという展開もあって、厳しい状況は続いています。日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、20年のコンビニ大手7社の全店売り上げは、前年比で4.5%減(10兆6608億円)。同一基準での調査開始(05年)以来、初のマイナスを記録しています。そんな折も折、公正取引委員会からコンビニ本部が加盟店に24時間営業や値引販売禁止を強制することは独禁法違反の恐れがあるとも明言され、コンビニ改革待ったなしの感が急速に高まっているのです。
定価販売と24時間営業は不可分
そうは言っても、そうやすやすと24時間営業はやめられないでしょう。なぜなら、24時間営業で閉店・開店業務がないことや深夜時間帯に仕入れや清掃・陳列整理をすることが、効率性の高いフランチャイズビジネスの根幹を担ってきたからです。一方、値引き販売の禁止については、定価販売することが24時間営業というコストを負担するコンビニ経営における収益の源であり、かつ「いつでも、どこでも」の利便性を盾に差別化をはかることで定価販売による高収益モデルが維持できるわけであり、24時間営業と定価販売は切っても切れない関係にあるのです。これらビジネスモデルに起因する根源的問題に、時代に合わせた対応をしつつ、いかにして新たな成長戦略を描くのか、コンビニはかつてない大きな壁に直面しているわけです。
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