“見放され世代”を襲う、コロナ禍の非正規切り 今こそ直視すべき「人を育てる」意義:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
政府が就職氷河期世代への支援に取り組もうとする中で、新型コロナ感染拡大が起きた。非正規を中心に、多くの人が解雇されている。そんな中、NTTとKDDIは共同で氷河期世代の就労支援を実施すると発表。安心して能力開発ができる制度をさらに広げてほしい。
氷河期世代をつくった「企業」の責任
いわずもがな、氷河期世代をつくったのは著しく採用を控えた「企業」であり、非正規を正社員化しなかったのも「企業」の問題です。しかも、「小泉政権の構造改革」による非正規雇用拡大により氷河期世代の問題は深刻になった。なのに、自分たちの責任を問うことなく、「人生再設計第一世代」などと呼び変えた。
「ばかにしてる」「今まで放置しておいて、何が再設計だ!」「胸くそ悪くなる!」「俺らの人生の設計を狂わしたの誰だよ!」etc.……SNSは大炎上しました。
そもそも「再チャレンジ」だの「ニーズに即した能力開発」だのと言う前に、まずは「今、うちの会社にいる氷河期世代」に会社が投資し、「うちの会社が求める能力」を「今、うちの会社にいる氷河期世代」が習得すべく「うちの会社」が教育するように国が義務化すればいいだけのこと。
無業状態の人についても、企業が“研修生”として雇い入れた上で、教育プログラムを受けてもらうなど、「企業」を通じて国が全て支援すれば、より多くの人が「不安定な就労」から脱することが可能でした。
「会社の中に居場所」ができれば、安心して企業が求める能力開発に取り組めるでしょうし、自分に投資してくれた企業が「正社員」として受け入れてくれれば、今まで不遇な扱いを受けてきただけに、「よし、もうひと踏ん張りしてみよう!」と彼らも最後の力を振り絞り、一生懸命働くことが期待できるはずです。
でも、それをしませんでした。というか、する気などさらさらなかった。
就職氷河期世代はすでに40代に突入していて、雇ってくれる企業など限られているのに、あたかも「キミが頑張りさえすれば、大丈夫!」と言わんばかりに、まやかしの支援策をスタートさせたのです。
その中で起きたのが、今回のコロナ禍です。
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