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「EV化で30万人が仕事を失う」説は本当か“いま”が分かるビジネス塾(2/4 ページ)

EVの普及によって雇用が30万人失われる――。2月、このような記事が話題になったが、この数字は本当なのか。ガソリン車と比べEVは部品点数が少ないので、部品メーカーが淘汰されるのはほぼ間違いないが、その一方で……。

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 日本を代表する部品メーカーである日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は、「EVの価格は最終的に30万円になる」と断言しているが、この数字もあながちウソではないだろう。

 蓄電池は低温では十分に性能が発揮できないことから、寒冷地では使えないという議論があったが、これも5年前の常識である。温度差による性能ギャップは急速に縮小しており、今のEVは寒冷地でも問題なく使うことができる(雪で立ち往生してもシートヒーターを使えば、場合によってはガソリン車よりも長時間、暖が取れる)。何よりEVの場合、自宅で充電ができるのでガソリンスタンドに行く必要がない。航続距離は大幅に伸びているので、ほとんどの利用者にとって大きな問題にはならないだろう。


出光興産とタジマモーターコーポレーションは超小型EVを開発している(出典:出光興産)

 仮にガソリン車が残るにしても、今後はすべてハイブリッドになるので、ガソリン需要はざっと半分以下になる。ただでさえ人口減少でガソリンスタンドの数が減っているなか、需要減少が重なれば、過疎地域を中心にガソリンスタンドは急ピッチで消滅していくだろう。何十キロも走ってガソリンを入れることと、家で充電することの利便性を比較すればおのずと結論は決まってくる。

 これまでEV普及を妨げると思われていた、価格、寒冷地での性能、航続距離、利便性といった問題がほぼ解消されつつあるので、当然の結果として、EVのシェアが高まることが予想される。

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