2015年7月27日以前の記事
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結局バレる! 企業のトラブル対応は「2次被害」こそが重要なワケ働き方の「今」を知る(2/4 ページ)

後を絶たない企業の不祥事・炎上だが、対応一つで影響を大きく変えることも可能だ。具体的に、どのように対応するのがよいのか、あるいは悪いのか。過去の有名企業での事例とともに解説する。

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 しかし、同社の一連の姿勢は重大事故を隠蔽したとの社会的な批判を招き、一転してパロマは謝罪に追い込まれ、会長は辞任を表明。裁判所も、パロマに製品販売後の長期監視義務があるとし、業務上の過失を認めた。この事故の影響でパロマは、給湯器の国内市場シェア争いで後れを取ることとなってしまったのだ。

法律的に正しいとしても、危機管理的には正しくない

 パロマのケースでは、「法律的に正しい答え」に従って対応したものの、それが「正しい危機管理」にはならず、かえって企業自体を危機的状況に追い込んでしまう結果となった。ダスキンの場合、食品を扱う企業として消費者の信用・信頼を基とした企業活動をしなければならず、消費者目線でないと評価されれば、時として役員個人が法的責任を負う事態にまで発展するリスクがあるということが分かる。

 企業組織における危機管理の相手は裁判所ではなく、一般消費者であり社会そのものだ。コンプライアンスの本質は単なる法令順守ではなく、「時代とともに変化する社会的要請を正確に把握し、それに応じた行動をとること」にあるといえよう。

 このようなことを踏まえ、不祥事によるバッシングが一転、支持に変わったケースも見てみよう。

徹底的に対応し立ち直った、まるか食品の事例

 ロングセラーブランド「ペヤング ソースやきそば」を製造販売するまるか食品における異物混入事件は、初期対応のまずさから厳しい批判が寄せられたものの、事後対応の姿勢が結果的に支持されることにつながったケースだ。

 14年、カップ焼きそば購入客が、麺の内部に虫の死骸が入った写真をSNS上で公開。すぐに話題となって報道されることとなったが、発覚直後、まだ混入原因が特定できていない状況にもかかわらず、会社側は「製造過程での異物混入は考えられない」という趣旨の文章をサイトに公開し、製造過程での混入を否定していた。

 しかし、後の調査によって製造過程での混入の可能性を指摘され、製品の自主回収費用を保障するリコール保険へも未加入だったことが報じられた。その他にも、問題発覚後、投稿した購入客本人の元へ直接担当者が訪れて商品買い取りを提案した際に、「問題となった写真を削除してほしい」と依頼したこと、社長がコメントを出さず謝罪会見も行わなかったことなど、一連の不誠実な対応が明らかとなった。こうして、厳しい批判を招くこととなり、同社は商品の全面回収と約半年間の生産・販売自粛、生産設備の全面刷新を余儀なくされたのだ。

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