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なぜオリオンビールはアルコール度数「9%」を止めて「2%」の商品を首都圏でも発売したのか:ECはリニューアルで売り上げ200倍(3/5 ページ)
キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。国内ビール市場トップ4社だ。では5位はどこだろう。それがオリオンビールだ。若者のアルコール離れが叫ばれる中、国内シェア約1%の地方発ビール会社は新たな飲酒文化の創造に向けた挑戦を続けている。
沖縄の課題解決のため「適正飲酒の推奨」
DOSEEのような低アルコール商品の発売と関連した流れは以前からあった。「適正飲酒の推奨」にも力を入れていることだ。
同社では以前、アルコール度数9%のチューハイ商品を取り扱っていたが、その生産を終了した経緯がある。19年12年に消費者の健康被害を考慮してのことだ。さらに、Webサイトでも「お酒は“長く、楽しく付き合うもの”」との在り方を示すほか、21年4月から、商品別純アルコール量を表示する予定だ。
沖縄県は、過度な飲酒が引き起こす社会問題が他府県と比べて多い。18年の県や県警の資料によると、肝疾患死亡率、飲酒事故はそれぞれ全国1位。未成年飲酒は特に男性で多く全国平均の2倍、泥酔して路上で寝る「路上寝」は例年7000件前後が報告されている。
吉田課長は、適正飲酒への働きかけについて「お酒のメーカーとしての責任だと思っています。飲酒で害を生んではお酒文化自体が廃れてしまいます。沖縄県全体が発展していかないとオリオンビールも将来がないと思っていますので、県民の健康のことも当然大事にすべきことだと考えています」と話す。
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