なぜオリオンビールはアルコール度数「9%」を止めて「2%」の商品を首都圏でも発売したのか:ECはリニューアルで売り上げ200倍(4/5 ページ)
キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。国内ビール市場トップ4社だ。では5位はどこだろう。それがオリオンビールだ。若者のアルコール離れが叫ばれる中、国内シェア約1%の地方発ビール会社は新たな飲酒文化の創造に向けた挑戦を続けている。
コロナ禍で県外進出を加速
同社は20年7月にECサイトをリニューアルした。コロナ禍で県内の飲食店も休業や時短営業が相次ぎ、巣ごもり需要が拡大。20年4〜6月の公式通販「オリオンショップ」の受注件数は昨対比で約300%増加したという。これを受け、新しいECサイトでは沖縄ファンの人に向けこれまで沖縄県外では入手が難しかった商品ラインアップを拡充。サイトの使いやすさの向上にも取り組んだ。
その結果、リニューアル前と比較すると、7月の売り上げは前年同月比で約200倍になった。月額で定期的に商品を宅配する、いわゆる“サブスク型”のサービスや、限定商品やコラボ商品の販売を積極的に行う。ECサイトを利用する客は約95%が沖縄県外からだという。
20年10月に生ビール商品「ザ・ドラフト」の「首里城再建支援缶」を発売した。1缶の売り上げにつき3円を首里城再建に向けた啓発活動や、建材であるチャーギ(和名イヌマキ)の植樹に活用するものだ。これをECサイトに出した途端、通常の同商品に比べて約6倍の売り上げが見られたという。
「再建支援につなげようという意味をもって、沖縄県外からわざわざ通販で商品を購入して頂ける方がたくさんいるという実感がありました」と話すのは、マーケティング本部マーケティングコミュニケーション/EC部EC課の妻夫木友也課長だ。
西表島の自然と文化の継承を目指す「Us 4 IRIOMOTE」プロジェクトとコラボしたチャリティグッズも取り扱い、エシカルな商品展開に取り組む。
「沖縄が好きで、自然や文化を守るために貢献したいという通販のお客様が多くいらっしゃいます。その方々のニーズに合わせて作っている商品もあります」。
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