なぜオリオンビールはアルコール度数「9%」を止めて「2%」の商品を首都圏でも発売したのか:ECはリニューアルで売り上げ200倍(5/5 ページ)
キリン、アサヒ、サントリー、サッポロ。国内ビール市場トップ4社だ。では5位はどこだろう。それがオリオンビールだ。若者のアルコール離れが叫ばれる中、国内シェア約1%の地方発ビール会社は新たな飲酒文化の創造に向けた挑戦を続けている。
オリオンビールが持つブランドイメージを活用
また、オリオンビールの商品は、商品の魅力に加えて、それ自体が持つブランドイメージが購買につながっていることも大きい。前述したように、オリオンビールは沖縄県外からの視点では、沖縄の持つリゾート感のアイコンとなっている部分がある。ECサイトではTシャツなどのグッズ売り上げが占める割合も高いという。
妻夫木課長は「弊社の(早瀬)代表がよく言うのは『企業のロゴがそのままファッションアイテムになっているのは、コカ・コーラとオリオンビールぐらいなのではないか』ということです」と話す。まさにその部分に売り手も買い手も価値を見いだしてきた。
居酒屋に飾ってあるようなオリオンビールのちょうちんもよく売れているという。「沖縄に毎年行っていた人が家の雰囲気を沖縄風にして、楽しんでもらっているのではと思います」。
コロナ禍で気軽に旅行が楽しめなかったこの1年。全国の沖縄ファンの気持ちに応え、つなぎ留めている存在が“沖縄のオリオンビール”なのかもしれない。
著者プロフィール
長濱良起(ながはま よしき)
フリーランス記者。元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。同年から個人事務所「XY SUDIO」代表。記者・ライター業の傍ら、フリーのTVディレクターや音楽制作業でも活動する。1986年、沖縄県浦添市出身。
著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房)がある。
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