なぜデジタル画像に何十億円もの値がつくのか? 熱狂するNFT市場(2/5 ページ)
ゲーム内の土地がトークン化され数億円で売買されたり、デジタルアートが75億円もの値段で取引されたりと、全世界的にNFTと呼ばれるトークンが盛り上がっています。国内でNFTのマーケットプレイスを開始したコインチェックの天羽健介執行役員による、NFTに関する寄稿。
仮想空間と現実空間の融合とともにNFTの価値は高まる
NFTを簡単な言葉で説明すると、ブロックチェーン上に刻まれた世界に1つだけしかない価値が証明されたデジタルグッズ、デジタルアイテムです。
NFTも暗号資産と同様に、裏側でブロックチェーン技術が使われています。しかしながら、現在、日本においてNFTは暗号資産ではない「モノ」に近い整理がなされています。
期待される利用用途は多岐に渡り、ゲーム、アート、音楽、スポーツ会員権、マンガ、アニメ、不動産など既存のビジネスにおいて固有の権利を証明するビジネスジャンルと親和性があります。それぞれの既存の権利ビジネスが、将来データに置き換わっていく可能性をイメージするだけでも、潜在的市場規模は相当に大きいことが容易に想像できるでしょう。
2020年初から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの生活が激変し、Zoomなどのツールを使いネット上の仮想空間で活動することが当たり前になってきています。今後、5Gなどの通信技術やVR技術が発展していくことで、この流れはさらに加速していくことが予想されます。
仮想空間と現実空間との融合が進むことで、購買活動やそれに伴う決済が必要となり、新たな経済圏が発達するでしょう。この時に必要となるのが、価値そのものを移転できるという特徴を持つ、ブロックチェーンやNFTではないかと考えています。
NFTは、まずはデジタルで完結する領域から普及していくと思われますが、リアルとデジタルの融合により、あらゆるノンファンジブル(代替不可能)な物は最終的にデータ化されて、NFTになる可能性を秘めています。NFTの流通総額が今のメルカリの流通総額を超える日も遠くないと思っています。
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