育休判明でローン融資拒否! 高飛車な銀行は、これから滅ぶと思えるワケ:働き方の「今」を知る(1/5 ページ)
男性が育休であることが判明し、ローンを断られた事例が話題に。いまだに金融機関の審査では、硬直的な審査が続いている。しかし、今後はこうした高飛車な銀行は、滅んでいくのではないだろうか。
インターネット銀行で住宅ローンを申し込んだ男性が、本審査まで通過しているにもかかわらず、「育休中である」ことを理由に融資を断られた件が報道され、話題になっている。
審査通った住宅ローン 育休わかると「融資できかねる」(朝日新聞)
記事では、融資が断られた理由について「育休中や産休中の場合、本人に復職意志があっても、仕事に復帰できなかったり、復職時期が遅れたりするリスクがあるため、金融機関は融資に慎重になる。原則不可という金融機関もある」と説明されている。
この報道を受け、「国を挙げて『男性の育休取得率向上』を推進しているのに、育休取得によって信用情報に影響を受けるのはおかしい」「少子化対策が急務である社会に逆行する動き」「金融機関のやっていることは育休差別。こういう商慣行が残っているからSDGs(持続可能な社会)が実現できない」といった批判も多く寄せられた。一部の国会議員は事態を重く見て金融庁との話合いに臨んでこの議題を出し、金融庁側から「このような対応は不適切」「(不適切である以上)当該金融機関に対し個別に対応する」「業界全般に対し同様のケースがないかヒアリング中」との見解も引き出しているようだ。
確かに問題であるかのように思われる今回のケース。金融機関側としては、別に「育休中」であることを理由に差別しているわけではない、という立場のため、報道はネガティブな誤解を招くものだと不本意に捉えているようだ。では、なぜ金融機関がこのような対応を行ったのか考えてみよう。
育休中は「無収入」なのか
そもそも、ローンの審査において根本となる判断材料は申込者の「収入」である。そして、産休中や育休中は給与が出ないことが一般的であるため、職に就いていない人と同じ「無収入」状態として扱われる。当然、金融機関も営利企業であるから、回収が見込めない無収入の人にはそもそもお金を貸すことはできず、「ローン審査の対象外」という判断になるわけだ。
また本人が育休後復職する心づもりがあったとしても、保育園に入れず復職が遅れてしまったり、会社側の都合で復職できなくなったりするなどの可能性もある。そうなれば無収入の時期も相応に延長されるし、復職後のポジションや残業時間によっては、育休前よりも収入が減少してしまう可能性もあるだろう。そういった予期できないリスクがある以上、金融機関としても慎重にならざるを得ないという事情がある。
ここまでの話の中で、育休の法制にある程度詳しい方なら、こんな疑問を持たれるかもしれない。
「『育休中は無収入』ではないのでは? 育休には給付金や税金優遇などの制度があって、『出産前の8割程度の収入は確保できる』と聞いたことがあるが……」
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