育休判明でローン融資拒否! 高飛車な銀行は、これから滅ぶと思えるワケ:働き方の「今」を知る(2/5 ページ)
男性が育休であることが判明し、ローンを断られた事例が話題に。いまだに金融機関の審査では、硬直的な審査が続いている。しかし、今後はこうした高飛車な銀行は、滅んでいくのではないだろうか。
確かにその通りだ。仮に勤務先企業に「育休中は無給」という規定があったとしても、実際は「収入がゼロ」になるわけではない。
現行法では育休中、雇用保険から支給される手当として「育児休業給付金」を受給できる。また女性の場合、産前6週間、産後8週間の休暇を取得できるが、その休暇中に「出産手当金」を受け取れる。そして育休中は、健康保険や厚生年金などの社会保険料の支払いが免除され、雇用保険料もかからない。さらに育児休業給付金は非課税扱いであるため、給付金への所得税もかからない。受給した給付金に加え、これらの差し引かれていた保険料などを考慮することで、育児休業給付金支給額が「手取り額の約8割」に相当する額になる、というわけなのだ。
ただし、この「育児休業給付金は非課税扱い」というところが、ローン審査では引っ掛かってしまう。確かに給付金としての収入は得られるのだが、非課税扱いのため、「課税ベースでは無収入」という状態が継続していることになる。金融機関の審査は課税ベースの収入であるため、やはり育休中の審査が通らないことになってしまうのだ。
回避するには今のところ「育休前にローン手続きを済ませる」か、「復職後に審査し直す」しかない。ただし、給与振込やカード決済を行うメインバンクなら、これまでの履歴によってフェアに審査されるかもしれないし、育休中でも申込可能な特例プランを用意した金融機関を選ぶという方法もある。
とはいえ、終身雇用制が崩壊し、非正規雇用やフリーランスといった働き方を選ぶ人の割合が増えていく中で、従前のような「正社員男性が大黒柱となり、一家の収入を支える」「勤務先の信用=個人の信用」という慣行や法制自体に抜本的な見直しが必要ではないかと考えられる。
関連記事
- 本当に大丈夫? 菅首相の「地銀再編」発言が、再び“失われた10年”を呼びそうな理由
菅首相がしきりに口にする「地銀再編」。確かに苦境に置かれる地銀だが、再編はうまくいくのだろうか。筆者は過去の長銀破綻を例に出し、また「失われた10年」来てもおかしくないと指摘する。 - 不祥事・炎上はなぜ絶えない? スタートアップ企業のトラブル事案から考える、危機管理広報の在り方
企業の不祥事や炎上は、後を絶たない。最近でも、スタートアップ企業で薬機法や景表法に関するトラブルが起こった。どうすれば、こうしたトラブルをなくせるのか。今の時代に、あるべき危機管理の姿を探る。 - 結局バレる! 企業のトラブル対応は「2次被害」こそが重要なワケ
後を絶たない企業の不祥事・炎上だが、対応一つで影響を大きく変えることも可能だ。具体的に、どのように対応するのがよいのか、あるいは悪いのか。過去の有名企業での事例とともに解説する。 - 「テレワーク7割」どころか、紙業務・サービス残業が横行の霞が関官僚 「与野党合意」で民間企業の模範となれるか?
政府が要請する「テレワーク7割」だが、そもそも霞が関で働く官僚が達成できていない。それどころか、民間企業未満の過酷な働き方が昨今明らかになっている。その元凶ともいえる国会対応を巡る与野党合意で、民間企業の模範へと変わっていけるのだろうか。 - 焼き肉業態で「非正規差別」? 批判記事を巡り、ワタミが抗議した「論拠」とは
コロナ禍で焼き肉業態へ業態転換を進めるワタミだが、近頃「非正規差別」をしているとの批判記事が公開された。これを受けてワタミ側は抗議文書を発表したが、その根拠は? 取材で見えてきた事実とは。 - 【独自】ワタミ「ブラック企業に逆戻り」騒動 内部取材で明らかになった、衝撃のウラ話を暴露する
「ワタミの宅食」で起こった残業代未払い問題。それだけでなく資料改ざんやパワハラなど、「やっぱりワタミはまだブラックだったのか?」と思わせるような実情が告発された。本当にワタミはブラック企業へ回帰したのか。内部取材を敢行すると、思わぬ事情が見えてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.