ファミマのコスメは半年で30万本超の売り上げ セブンやローソンはどう対抗? コンビニが化粧品売り場に力を入れる理由:緊急需要じゃない(2/3 ページ)
コンビニの化粧品売り場に異変が……緊急需要を満たす商品から新しいニーズに対応する商品へと変化している。なぜ化粧品売り場に力を入れるのか
緊急需要から「コスメを買いにコンビニへ」
ノインの顧客は若者層が多く、ファミマが狙う10〜20代のターゲット層が支持している。また発信力が強くオンラインからオフラインへの送客を行える上、ユーザーとのコミュニケーションによりニーズも理解している。
同社日用品・ヘルスケアグループの寺田美保氏は「sopoの売れ筋はトレンドカラーが中心。『カラーマスカラ』のダイヤモンドはクリアベースにラメが入ったもので、SNSでも好評だった」と語る。他のカラーとの重ね付けを推奨した商品で、SNSでは実際に重ね付けした動画など詳細な口コミが投稿されている。
そうした口コミも呼び水となり、コスメを買うために来店する流れを生んだ。ファミマは化粧品だけでなく、衣類でも「ファセッタズム(FACETASM)」の落合宏理デザイナーによるブランド「コンビニエンス ウェア(Convenience Wear)」を3月から販売するなど、来店する目的を明確化するアイテムの品ぞろえを強化している。
sopoが4月に発売した新色では「カラーマスカラ」(935円)のラズベリーピンク、「パウダー&ライナー」(1265円)のアイスレモネードといった数量限定品が人気だ。どちらも鮮やかで挑戦的なカラーで、価格帯やサイズもこれまでの緊急需要向けアイテムとは異なるものだ。池平マネジャーは「今でもコンビニコスメの緊急需要は高いので、sopoを投入してもmediaの売り上げは下がらず、プラスオンする形となった」と語る。緊急需要と目的買い、どちらのニーズも満たすことができた結果だろう。
また「価格は市場調査を行い、クオリティーに対して約8割ほどの価格を実現している。しかし若者は決して安さだけを求めているわけではなく、何を目的として買うのかが重要なのだと感じる」と話す。
他社でもカラーコスメが話題を生んでいる。セブンが取り扱うピアスのコンビニコスメ「パラドゥ(Parado)」は、Twitter公式アカウントで13万フォロワー以上を抱える。中でも話題になったのは限定色の販売だ。「パラドゥ サクラヴェールリップ」の限定色として1月から販売する「しあわせきらめく桜色」は京都の寺で祈祷を行い、願いを込めた“桜お守りリップ”として遊び心をプラスした。
資生堂の「インテグレート(INTEGRATE)」もローソン限定品としてミニサイズの「ポーチインコスメシリーズ」を手掛けている。持ち運びの利便性やお試し需要、コスメを使い切りたいといったさまざまなニーズから支持を集めているという。
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