本格導入はいつ? JALが実証実験を進める3つの「デジタル健康証明書」:混乱を解消したい(5/5 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、空港が大変なことになっている。日本から海外へ渡航する際、各国ごとに必要な手続きや入国後の制限が大きく異なり、航空会社にも利用者にも混乱が広がっているのだ。こうした騒ぎを解消するために……。
10月から本格導入を見込むJALの狙い
JALでは、4月2日の羽田→ホノルル、4月5日の成田→シンガポールの便で「コモンパス」の実証実験を実施した。ANAも同時期に、羽田ーニューヨークの往復便で「コモンパス」の実証実験を実施している。JALの実験では、ホノルル行きは同社のスタッフ1名が、シンガポール行きはコモンズ・プロジェクトの日本事務局のスタッフ1名が実証を行ったそうだ。
いずれの実験も、スタッフが搭乗の前日にコモンパスと連携している東邦大学羽田空港第3ターミナルクリニックでPCR検査を受け、陰性であること、結果がアプリと連携していることを確認。ホノルル便・シンガポール便ともに、無事に出国審査を通過した。
現地到着後の入国検疫では、ホノルルではまだコモンパスが健康証明書として認知されておらず、PDF形式の陰性証明書を専用Webサイトにアップロードする従来の入国検疫が実施された。一方、デジタル化が進むシンガポールでは、コモンパスの提示で問題なく通過できたそうだ。
「今後ハワイでは、ハワイ州の定める旅行者向けの事前申請プログラムとコモンパスが部分的に連携される予定です。今回の実証実験では、出入国時の手続きを通常よりスムーズに終えられたという結果も出ています」(塚本氏)
JALでは4月26日から日本発、米国本土行きの便で「VeriFLY」の試験導入も始まった。
「少数ですが、VeriFLYを利用して搭乗手続きをされる方が毎便一定数おります。現時点では特段の不具合もなく、デジタルサービスに慣れた方が主に利用されていると考えております」
また、5月下旬から一部路線で「IATAトラベルパス」の試験導入を予定、さらに、10月頃から3つのデジタル健康証明書アプリの本格導入を見込む。
「米国のVeriFLYやEUのデジタル・グリーン証明書をはじめ、私たちの想像以上のスピードで物事が進んでいます。当社としては、関係する世界の動きにも注意を払いながら取り残されずに対応したいと考えています。アプリと連携する医療機関のネットワーク拡大や利用者への周知、非接触チェックインなど、やるべきことは山積みですが、お客様のニーズに応えていきたいという思いです」
JALでは、各国のワクチン接種状況を踏まえ、いずれコロナの影響から脱する日がくることを想定しているという。同社が目指す「安心・安全な空の旅」ができる日が、一日も早く訪れることを願ってやまない。
(写真提供:JAL)
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