コロナで大不振のエイチ・アイ・エス 25%増収のエネルギー事業も赤字転落のワケ(2/2 ページ)
新型コロナウイルス感染再拡大により、各国での入国制限の継続など旅行事業が大きな影響を受けた。さらに、ワクチン接種の遅れなどによるレジャー需要の回復が後倒しになったことも要因となった。エネルギー事業では、需要が逼迫(ひっぱく)し、卸売市場では冬に100円/kWhを超える日が続出。仕入環境の悪化により、売上高は176億円と前年比25.7%増となったものの、営業損失77億円(86億円の減益)となった。
増収したエネルギー事業も、大きな営業赤字に
エネルギー事業では、電力小売事業における供給量は順調に拡大推移するも、12月下旬以降の寒波到来に伴う電力需要の増加や、燃料在庫の減少に伴うLNG(液化天然ガス)火力を中心とした供給力の低下などにより需要が逼迫(ひっぱく)。卸売市場では年間を通して5〜10円/kWhで推移していたところ、12月下旬より高騰し、1月下旬までは100円/kWhを超える日が続出した。一過性ではあるが、このような仕入環境の悪化により、売上高は176億円と前年比25.7%増となったものの、営業損失77億円(86億円の減益)となった。
今後は、グループ全体でコスト削減の徹底を継続し、雇用調整助成金を活用していく。またHIS単体においては採用の抑制に加え需要回復局面までは最大1500人の出向により稼働人員を調整していく。需要100%回復時の人員はコロナ前の約70%で対応可能となる体制を構築する。
さらに、新規事業参入も視野に入れ、事業規模全体の70%を占める旅行事業を5年以内に50%未満にし、より強固な事業ポートフォリオを目指す。またエネルギー事業においても電力仕入方針を見直し、時期に応じた仕入割合の変更、収益性の高い低圧契約を強化していくとしている。
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