寮発祥のドーミーインが「大浴場」をどんどん展開するワケ 手掛ける「和風ビジネスホテル」とは?:瀧澤信秋「ホテルの深層」(5/5 ページ)
「宿泊施設のカテゴリーボーダーレス化」が進んでいるが、ドーミーインのサブブランド「御宿 野乃」もそのひとつだろう。
シャワーといえば、ドーミーインでは客室にバスルームを設けずシャワーブースのみというスタイルが多いことに気付く。筆者はさまざまなホテルプロジェクトへ参画する機会も多いが、各客室に浴槽を設ける場合と比較し、大浴場を設ける方がコスト的にみても効率は良いことはよく言われる。
充実した大浴場を持つドーミーインが客室にお風呂を設けないことは理にかなっている。そのシャワーブースも、ラビスタや御宿 野乃をはじめとした新たな店舗では、着座タイプを採用するなど進化を遂げている。大浴場だけではなく客室シャワーブースにも注力するあたりがホテル運営へのスタンスを表していると評せる。
今回はドーミーインの大浴場、温泉や露天風呂などへフォーカスしたが、ドーミーインの大浴場にはサウナや水風呂といったサウナファンにも支持される設備も特色だ。そろそろ本稿のスペースも尽きてきたので、そうした人気のサウナをはじめ、「夜鳴きそば」や、クオリティー高き朝食など、ドーミーイン独自の注目すべきサービスについては次回紹介したい。
著者プロフィール
瀧澤信秋 (たきざわ のぶあき/ホテル評論家 旅行作家)
一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。
日本を代表するホテル評論家として利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。評論対象は宿泊施設が提供するサービスという視座から、ラグジュアリーホテルからビジネスホテル、旅館、簡易宿所、レジャー(ラブ)ホテルなど多業態に渡る。テレビやラジオ、雑誌、新聞等メディアでの存在感も際立ち、膨大な宿泊経験という徹底した現場主義からの知見にポジティブ情報ばかりではなく、課題や問題点も指摘できる日本唯一のホテル評論家としてメディアからの信頼は厚い。
著書に「365日365ホテル」(マガジンハウス)、「最強のホテル100」(イースト・プレス)、「辛口評論家、星野リゾートへ泊まってみた」(光文社新書)などがある。
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