2年で3万台が売れた! スマホ操作の聴覚サポートイヤフォンが好調なワケ:3万円で高機能(3/6 ページ)
聴覚サポートイヤフォン「Olive Smart Ear(オリーブ スマート イヤー)」の売り上げが好調だ。約2年で3万台ほど売れたというが、どういった特徴があるのだろうか。製造・開発元のオリーブ ユニオンに、取材したところ……。
数十万円の補聴器の原価が5000円だった衝撃
物心ついたころからモノづくりに魅了されていたオーウェン氏が「聞こえ」の課題に関心を持ったのは、大学院生として米国留学していた13年にさかのぼる。当時、親のように彼を気遣ってくれた現地在住の叔父が難聴を患っていたのだ。叔父は会話を楽しもうと数十万円の補聴器を購入したが、その効果に満足できず、わずか1週間で使用を中止した。
なぜ、高価な製品を使っても課題が解決できないのか。大学でプロダクトデザインを学び、在学中からサムスンにスカウトされプロダクトデザイナーとして働いた経験を持つオーウェン氏は、それを自分で確かめずにはいられなかったという。
「いざ分解してみると、補聴器の原価は5000円程度に見えました。補聴器は専門家による型取りや音の調整といったきめ細かいサービスが含まれ、だからこそ高価な価格設定になります。それを考慮しても、プロダクトデザイナーの視点から見て、とても信頼できる製品とは思えませんでした」
多大な期待を寄せて数十万円を支払った叔父の落胆を想像すると憤りがおさまらず、同時にこの課題をなんとかしたいという使命感がわいた。オーウェン氏のこの原体験が、「オリーブ スマート イヤー」誕生のキッカケとなった。
実際、彼の叔父のように高額な補聴器を購入しても、使い心地に満足できず使用をやめてしまう人は少なくないという。
「補聴器は慣れるまでに3カ月ほどかかるといわれており、自分の声や雑音が響くなど最初は不快感を伴うこともあります。叔父の場合、一定期間利用すれば満足できたかもしれませんが、慣れる前にわずらわしく感じてしまったのだと思います。オリーブ スマート イヤーに90日間の全額返金保証(※)を付けているのは、そのためです」
関連記事
- 真っ先に変えるべきは日本人の「思考」 オードリー・タンが貫く「透明性」と「多様性」
新型コロナの封じ込め戦略など、台湾の存在感が抜きん出ている。その中心人物として活躍しているのが、デジタル担当政務委員大臣のオードリー・タン氏だ。コロナ禍を通じて、日本が台湾に学ぶべきことは何か。 - コロナ禍で売上は1.5倍! 耳をふさがない「骨伝導ヘッドフォン」は何がスゴいのか
新型コロナの感染拡大を受けて、宿泊業や外食産業は大きくダメージを受けているが、そんな中でも前年比で売り上げを伸ばしているアイテムもある。「骨伝導ヘッドフォン」だ。なぜ、この商品が売れているのかというと……。 - トイレ界のスタバを目指す! 東南アジアに広がる「1回33円」の有料トイレ
タイやベトナムなどで、有料の公衆トイレが人気を集めている。運営しているのは、スイスの会社「ミスター・ルー」。1回33円の有料トイレはどんなところなのか。共同創業者の2人に話を聞いた。 - オープン1週間で満室! 在宅勤務の20代がソーシャルアパートメントを選ぶワケ
グローバルエージェンツが5月末にオープンしたソーシャルアパートメント「ネイバーズ鷺沼」が人気である。開業2カ月前から集客を開始したところ、約180件の問い合わせを集め、オープンして1週間後には全60室が満室に。住民の多くは20代のリモートワーカーだ。 - 入居待ち6500人! デンマーク発のコンテナ住宅が熱望される理由
デンマークの首都コペンハーゲンに、6500人もの学生が入居待ちをしている大人気の賃貸住宅が存在する。コンテナを使った集合住宅だ。なぜコンテナ住宅に住みたいと思っている学生が多いのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.