雇用調整助成金、上場企業の2割超が申請 5社は「100億円以上」
上場企業の決算資料を調査した結果、雇用調整助成金の計上や申請が判明した企業が770社にのぼった。この数字は上場企業全体の20.2%に達する。
東京商工リサーチは、2021年5月末までに開示された上場企業の決算資料を調査した結果、雇用調整助成金(以下、雇調金)の計上や申請が判明した企業が770社にのぼることを明らかにした。この数字は上場企業全体の20.2%に達する。
4月末に実施した前回調査から54社増え、20年11月の調査開始以降、前月比で最も高い伸び率の7.5%増となった。計上額は4435億9890万円で、4月末から491億2360万円増加した。
計上額別で見ると、最多は1億円未満で274社(35.6%)だった。100億円以上は前月の4社から1社増え、合計5社となった。3月期決算の上場企業が雇調金を追加計上したほか、新たに申請した企業も増え、企業数と計上額は増加傾向にある。
業種別では製造が最も多く、770社のうち302社(計上額928億3940万円)に及んだ。以下、観光などのサービスが148社(同883億3130万円)、外食を含む小売が146社(同796億6480万円)と続いた。また、空運や鉄道などの運送は48社だったが、計上額は最も多く1451億5910万円に達した。
全上場企業のうち雇調金を利用した企業の割合は、小売が41.9%と初めて4割を超えた。ついで運送が38.4%、サービスが27.9%だった。
雇調金は20年4月、コロナ禍における雇用維持を図る目的で現行の制度が始まった。雇調金の特例措置は4月で終了するものの、5月以降は一部支給金額を減額して継続される。また、緊急事態宣言が延長されている沖縄や、まん延防止等重点措置が適用される東京、大阪、愛知などでは、特例措置が8月末まで延長される。
今回の調査では5月のゴールデンウィーク期の申請や計上実績は反映されていないため、観光や運送、外食含む小売などの申請社数、計上額は今後さらなる増加が見込まれる。ワクチンの接種が進むことで消費回復が進み計上額に変化は表れるのか、今後の動向が注視される。
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