ドーミーインのこだわりは「大浴場」だけじゃない 店舗数拡大でも維持する「水風呂」と「朝食」の質:瀧澤信秋「ホテルの深層」(2/5 ページ)
共立メンテナンスが運営するビジネスホテル「ドーミーイン」。大浴場のこだわりにとどまらず独自サービスを展開している。
ビジホ温泉&サウナのパイオニア
ビジネスホテル&大浴場という組み合わせは、近年よく見かけるようになった。しかし、サウナまで備えているかといえば、チェーンやブランドによりけりといったところだ。サウナ好きの方の中には、ホテルに大浴場があると知り出向いてみたが、サウナがなくてがっかりしたという経験をお持ちの方もいるかもしれない。
一方で、乱立する宿泊特化タイプのカテゴリーにおいて、大浴場とサウナでチェーンの特色を打ち出し差別化を図ろうとするケースも見られる。サウナ好きの筆者としては、評論家の立場を超えた個人的嗜好(しこう)により、大浴場&サウナが定番といったチェーン、ブランドをセレクトする傾向がある。こうなるとホテル名は“あのチェーンに泊まればサウナが楽しめる”といった記号のようなものだ。
例えば、最近では全国約30店舗を展開するベッセルホテルズ(広島県福山市)をよく利用しているが、大浴場とサウナを擁する施設も多く、サウナ好きの目線としてはその“安定感”がうれしいところだ。
そうしたチェーンは各地で散見されるが、やはりビジホ温泉&サウナにおける全国区のパイオニアは「ドーミーイン」である。筆者は全店へチェックインした経験を持つが(2018年9月現在)とにかくサウナと水風呂がドーミーインを選ぶ理由のようなところもある。前回触れたドーミーインの大浴場に加え、サウナや水風呂に対する探究心は知れば知るほど感動的である。
サウナー(サウナ好きな方の俗称)にとって、冷水浴はサウナに欠かせない存在だ。サウナ→水風呂→外気浴を繰り返すことで得られる悦楽をファンは“ととのい”と表現するが、ととのいに重要なのが水風呂の温度ともいえる。
前出のベッセルホテルズをよく利用するようになったのも、サウナ・水風呂の存在と共に、チェーンで水風呂温度を14℃(設備の関係で例外もある)と共通して設定していたというのが大きな理由でもある。市中のスーパー銭湯などでは18℃くらいをよく見かけるが、時に“シングル”といって9℃以下という希有(けう)な水温の施設も話題になるほどサウナーにとって水風呂は重要だ。いずれにせよ14℃というのもかなり冷たい。
水風呂の温度でいえばドーミーインも負けてはいない。12〜13℃のかなり低い設定をみかける。水風呂の水を冷却させるには「チラー装置」という高価な機器が必要である。費用をかけてもそうした装置を備えるところに大浴場そしてサウナに対するスタンスを見るようだ。
もう一つ、ととのいに重要なのが外気浴スペースである。ドーミーインの場合は露天風呂を擁するのが基本なので、おのずと水風呂上がりの外気浴スペースとしても活用されることになる。外気浴にガーデンチェアは必須であるが、最近の新しい店舗で感心したのがオットマンチェア(脚を乗せられるスツール)まで備えていたことだ。
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