ドーミーインのこだわりは「大浴場」だけじゃない 店舗数拡大でも維持する「水風呂」と「朝食」の質:瀧澤信秋「ホテルの深層」(4/5 ページ)
共立メンテナンスが運営するビジネスホテル「ドーミーイン」。大浴場のこだわりにとどまらず独自サービスを展開している。
コロナ禍で無料サービスを加速?
同ブランドで大浴場やサウナと共に知名度の高さを誇るサービスが「夜鳴きそば」だ。飲んだ後のシメや夜食に適したシンプルなラーメンで、宿泊者へ無料で供している。“夜鳴きそばといえばドーミーイン”と思いきや、前述した共立リゾートのリゾートホテルや湯宿でも同様に提供されている。共立=夜鳴きそばともいえる存在だ。
提供時間はドーミーインが午後9時半〜午後11時、リゾートホテルなどでは午後10時半〜午後11時(店舗によって異なる)。リゾートホテルでは「トマトラーメンバージョン」など工夫を凝らしたメニューも見られる。その他、夜鳴きそばの誕生秘話や利用術などなかなか奥深いサービスであるが、その話はまた別の機会にとっておきたい。
そんなドーミーインの無料サービスは、コロナ禍での集客効果を狙ってか、さらに加速している印象がある。夜鳴きそば同様時間限定だが、アルコール飲み放題を実施する店舗まである。また、お風呂上がりのアイスキャンディーや乳酸菌飲料の無料提供も広く知られるようになった。先日出向いた「天然温泉 豊穣の湯 ドーミーイン池袋」では、大浴場に“ポカリスエットのタンク”を設置していた。
ドーミーインの朝食の課題は?
最後に朝食についても触れたい。大浴場同様に利用者から評価の高いドーミーインが提供するサービスとの一つといえる。前編で紹介した「御宿 野乃 京都七条」では、ご当地メニューとして「国産鴨と九条ねぎのしゃぶしゃぶ」や老舗「ゆば庄」の湯葉を使用した「湯葉丼」など、約60品のバイキングを提供していた。概してご当地食材やメニューにもフィーチャーした充実の内容という印象であるが、店舗間クオリティーの担保は課題のようだ。
『“日本一の朝食”を出す函館のホテル 宿泊客数を抑えてまで守ったモノとは?』で、他ホテルの朝食によるホテル改革について触れた際「ドーミーインの朝食が日本一では?」といった感想を読者からいただいた。ドーミーインの多くの施設へチェックインした経験者としては、店舗間クオリティーのバラツキは気になるところである。
以前利用した、ドーミーインのとある施設の朝食がひどい内容だった。期待値が高かっただけにそう感じたのかもしれないが、元支配人から話を聞く機会があったので確認してみた。確かに会社としても問題視されていたといい、原因は着任した社員(支配人)と従来の朝食担当スタッフとの連携がうまく取れず、ブランドとしてのコンセプトを落とし込めないケースもあったと話す。
クオリティーを高めることと店舗数が拡大することは反比例する要素がある。ただし、最大公約数的にいえばドーミーインの朝食は同業他社ブランドより群を抜いているし、ここまでの規模のチェーンが一定のクオリティーを堅持しているのは注目すべきポイントであるといえる。
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