フランス司法当局がユニクロなど捜査 新疆問題で表面化する日本アパレルが抱えるジレンマ:磯部孝のアパレル最前線(1/4 ページ)
7月2日、フランスの司法当局は「人道に対する罪の隠匿」の疑いでユニクロのフランス法人など4社の捜査を始めた。
7月2日、フランスの司法当局は「人道に対する罪の隠匿」の疑いでユニクロのフランス法人など4社の捜査を始めた。米国では、一部商品の輸入が差止措置となった。ユニクロ側は原材料の原産地証明書類や生産工程に関する情報を提示したものの、その主張は認められなかった。
最近は、欧米先進国を中心に、地球環境や人権尊重に向けた取り組みと、日本企業の考え方にミスマッチが生じているとしか思えない。新疆ウイグル自治区の強制労働問題については、これまで以上に関わりを持つ企業を規制、排除する動きがより鮮明になっている。今回のユニクロ側の主張が認められなかった理由は分からないが、新疆地区には浙江省の民間企業との合弁工場や江蘇省などの沿岸地域から、紡績、織機、染色の企業が多数進出している。
一方、無印良品を展開する良品計画は、新疆綿を今後も使い続けると表明した。同社の使っている綿、綿糸については世界基準である認証を得ていると強調。全ての生産パートナー企業と労働環境、人権尊重の方針を共有した上で、外部の専門機関による工場監査を実施。また、新疆地区の約5000ヘクタールの農場は、畑や作業者のプロフィール、人員計画を把握し、栽培スケジュールに合わせて第三者機関を現地に派遣し、毎年監査をおこなっていて問題がないと主張している。
まるで逆風にあらがうように、継続使用を言明する無印良品の姿勢とは何か。それは無印良品のブランド根幹ともいうべき、地球、動植物、生産者に余計な負荷をなるべくかけないことに依拠する。同社は1999年よりオーガニックコットンを使い始め、商品開発者が実際に産地に足を運び、種まきや収穫体験を通じて農家の方々と交流し、現地の優良な雇用機会の拡大と一般生活者の生活向上に役立っているとの自負がある。
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