フランス司法当局がユニクロなど捜査 新疆問題で表面化する日本アパレルが抱えるジレンマ:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
7月2日、フランスの司法当局は「人道に対する罪の隠匿」の疑いでユニクロのフランス法人など4社の捜査を始めた。
無印良品は「新疆」のマイナスイメージに配慮?
ユニクロは国内アパレル企業の中では、サプライチェーンに関する情報開示が進んでいる。ユニクロとジーユーで使っている主要素材工場、ファーストリテイリングとして取引のある主要縫製工場、一部工程の外注先工場のリストを年次更新、公開している。しかし、ユニクロやジーユークラスの生産ロットをこなすのは、町工場とはいかない。
資金力も含め、ある程度の規模感のある工場サイズとなる。当然、原材料調達や加工などグループ企業で行うこともあるだろうし、ましてや混紡素材の成分まで特定させるのは難しい。
無印良品も、2016年から自社社員の現地訪問記録を公開しているが、06〜19年の13年間で現地入りしたのは8回。訪問年度や見学工程を見る限り、その計画性は認められず、サプライチェーン管理を目的とした訪問とは言いにくい気がする。
無印良品のオンラインストアを見ても「新疆綿」の表示は見当たらない。全て「超長綿」という綿糸の特徴を強調させた言い回しにすり替わっている。問題のない新疆綿は継続使用といいつつも、一般消費者が感じる「新疆」というマイナスイメージには配慮しているようだ。
代表的な例として、ユニクロ、無印良品を取り上げてきたが、他のアパレル企業の対応はまちまち。5月22日付の日本経済新聞にアパレル主要50社の対応がリスト化されていた。新疆綿を使用している企業が14社、不使用16社、調査中7社、無回答13社だった。中には、新疆綿の取り扱いを中止、見合わせる企業もあったが、それでこの問題が解決するものではない。
そもそも新疆綿は、中国で生産される綿の84.6%(国際綿花諮問委員会調)を占めるのだから、中国素材もしくは中国生産している商品だと、かなりの高確率で新疆産の綿にあたる。新疆綿の取り扱いをしていなくても、新疆産の綿入り素材を使用してしまう可能性は高い。
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