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売れすぎて入手困難に! なぜ無名ブランドの「ガトーショコラ」は人を魅了するのか完売が続く(3/5 ページ)

2020年10月の発売以来、9カ月連続で完売状態が続いているガトーショコラの店がある。名古屋と東京に店を構える「THE chocola(ザ・ショコラ)」だ。オーナーシェフに、開発の経緯や企業戦略を聞いた。

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発売直後に話題を呼び、即完売した理由

 ザ・ショコラは、現在も買いづらい状況が続いているが、発売直後の売れ行きはすさまじかったようだ。オンラインは毎回、発売から数分で完売、名古屋店の販売分はまたたく間に予約で埋まった。

 「当初、名古屋店では毎週水曜日、20本の限定発売としたのですが、想定以上の予約があったため、体制を変更し大幅に本数を増やしました。それでも半年待ちになっており、7月の時点で来年2月のバレンタインの予約が入っています。オンラインであれば断然早く手に入りますが、店舗で購入したい方が多いようです」


ザ・ショコラを開発したシェフの澤田氏

 ここまでの反響があった理由は、「常識を覆す究極のガトーショコラ」というキャッチコピーへの期待に加えて、澤田氏を支持する多くの人の存在とメディア露出の影響があった。

 調理学校を卒業してから、料理人一筋でイタリアンレストランやホテルでシェフを務めてきた澤田氏は、「チョコレートアーティスト」としての顔も持ち併せる。作品を投稿しているインスタグラムには18600人のフォロワーがおり、どの投稿にも1000や2000を超える「いいね」が付いている。

 1万〜10万人のフォロワーを持つ人は一般的にマイクロインフルエンサーと呼ばれ、比較的フォロワーとの距離が近く、エンゲージメント率が高い傾向が見られる。澤田氏もまさにそうで、彼はフォロワーを「身内」と呼び、フォロワーとのコミュニケーションに熱心な姿勢がうかがえる。

 「シェフとして働くかたわら、15年からチョコレートアーティストとして作品を創るようになり、コツコツ投稿して認知が広がりました。毎回、数十から数百のコメントをいただき、そのすべてにお返事しています。18年、35歳のときにチョコレートアーティストとして独立したときは、フォロワーさんの存在が一番の支えでした」


澤田氏のインスタグラムより。チョコレートを使ったアート作品が並ぶ

 ザ・ショコラの試作期間には、フォロワーを招いて試食会を行い、彼らの意見も取り入れたそうだ。フォロワーは30〜50代の女性が中心で、ザ・ショコラの購買層もまったく同じだ。

 フォロワー増加には、AbemaTVの人気番組「いきなりマリッジ 結婚に本当に必要なこと4」への出演も関連している。知人から誘われて出演を決めた澤田氏は、「結婚願望があったし、断る理由がなかった」と語る。番組は諸事情により打ち切りとなり、澤田氏が婚姻届を提出することもなかったが、絶好のPRの機会になったのは確かだという。

 インフルエンサーの友人、知人も多く、彼らが積極的にザ・ショコラを告知してくれたこと、反響の大きさからテレビのバラエティ番組をはじめ、マスコミの露出を多数獲得できたことも認知拡大につながった。複数の話題性が重なり、新ブランドながら発売後すぐに人気に火が付いたようだ。

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