体温で発電する「マザーブレスレット」にざわつく 開発の狙いは?:充電不要(3/6 ページ)
24時間365日体調を自動で計測する「マザーブレスレット」が、健康意識の高い人々をざわつかせているようだ。クラウドファンディング「Makuake」で展開したところ、支援金は4500万円を突破。開発担当者にヒットの裏側などを聞いたところ……。
シリコンバレーのスタートアップと協業して開発
メディロムがウェアラブルトラッカーを開発した背景には、16年から提供しているアプリ「ラブ」の事業において、利用者の健康情報をうまく取得できない課題があった。
「これまで、ラブの利用者には他社開発のウェアラブルトラッカーを付与して、健康情報を取得していました。しかし、約半数の利用者が充電後にデバイスを付け忘れたり、着脱を面倒に感じたりして、理想的な健康情報の取得にいたっていませんでした。自社で充電の手間がないデバイスを開発したいと考えていたところ、シリコンバレーに温度差発電技術に長けたスタートアップがあるという情報を入手し、アプローチしました」
その企業は、11年にシリコンバレーで創業したMATRIX Industries(マトリックスインダストリーズ)で、温度差発電技術では業界を牽引するリーディングカンパニーだという。同社は、温度差発電技術において最大の課題であった「発電量の少なさ」を解決すべく、発電量を最大限に増やす熱電モジュールを開発。マザーブレスレットは、この熱電モジュールを利用したことで、充電せずに使い続けられる仕様を実現できたのだ。
「マトリックスインダストリーズは、自社でスマートウォッチの開発もしていますが、ビジネスモデルのメインはB2Bです。熱電モジュールを世界のさまざまな製品に応用することが彼らの狙いであり、当社のアプローチは、その狙いにピタリとハマったというわけです。当社と組むことで、日本市場でのマーケティングコストを抑えつつ、売り上げや認知向上を期待できる。彼らにとって、メリットの多いコラボレーションだったのでしょう」
マザーブレスレットは、18年から企画をスタートさせ、3年近い開発期間を経て、21年の夏に製品として発表するところまでこぎつけたそうだ。
関連記事
- トイレ界のスタバを目指す! 東南アジアに広がる「1回33円」の有料トイレ
タイやベトナムなどで、有料の公衆トイレが人気を集めている。運営しているのは、スイスの会社「ミスター・ルー」。1回33円の有料トイレはどんなところなのか。共同創業者の2人に話を聞いた。 - コロナ禍で売上は1.5倍! 耳をふさがない「骨伝導ヘッドフォン」は何がスゴいのか
新型コロナの感染拡大を受けて、宿泊業や外食産業は大きくダメージを受けているが、そんな中でも前年比で売り上げを伸ばしているアイテムもある。「骨伝導ヘッドフォン」だ。なぜ、この商品が売れているのかというと……。 - コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」、1万台以上売れた秘密
子どもが小学校に入学すると、多くの親は子どもがきちんと勉強してくれるかどうかについて不安を覚える。そんな不安を解消するために、文具最大手のコクヨは、IoT技術を用いた親子間コミュニケーションで子どもの学習意欲を引き出すことを目指した。そのために開発されたのが、「しゅくだいやる気ペン」だ。 - 電動スクーター「ブレイズスマートEV」は、なぜ3000台以上も売れているのか
名古屋市に本社を置く自動車ディーラーのブレイズが開発した電動スクーター「ブレイズスマートEV」が注目を集めており、売れ行きも好調だ。人気の秘密を取材したところ……。 - 山善の焼肉グリル「XGRILL」が売れている、人気の秘密は?
家の中で焼き肉をやるのは、理解が得られにくい。やはり、においの問題が大きいが、山善はこの課題に正面から向き合い、解決策となる商品を開発。それが現在、想定を上回るペースで売れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.