育児中の主婦が立ち上げた「子ども向け英語スクール」は年商7000万円に成長 教育ビジネスの勝ち組に「異色の戦い方」を聞いた:目指すは上場(1/5 ページ)
今、ひそかに注目を集める、子ども向け英語スクールがある。SUNNY BUNNY Language Educationは、もともと2006年に当時2歳の娘を育てていた羽織愛氏が立ち上げた親子英語サークルが母体だ。設立7年で年商は7000万円、売り上げを伸ばし続ける教育ビジネスの勝ち組だ。大手企業も進出する教育ビジネスの中で、どのような戦略を実行してきたのか。代表の羽織氏に聞いた。
今、ひそかに注目を集める、子ども向け英語スクールがある。
SUNNY BUNNY Language Education(東京都北区)は、もともと2006年に当時2歳の娘を育てていた羽織愛氏が立ち上げた親子英語サークルが母体だ。13年に法人化し、初年度の年商は1000万円。都内や札幌市など4校で約200人が受講し、年商は7000万円までになった。20年こそコロナ禍で初めての減収になったものの、設立から7年間、売り上げを伸ばし続ける教育ビジネスの勝ち組だ。
入塾した生徒のほとんどが、約1年で簡単な英語を話せるようになり、小学6年時には高校卒業程度の英語力が必要とされる英検2級を取得する。講師1人に対して生徒は5人までという方針を徹底しているという。
羽織氏自身はいわゆる英語ネイティブではなく、早期英語教育を受けていたわけではないが、日本で英語を話せる人を増やす「日本バイリンガル化計画」を掲げ、まい進している。今年は、実業家のホリエモンこと堀江貴文氏率いるサポート校・ゼロ高等学院による幼児教育プロジェクト「ZERO International Preschool」のパートナーにも選ばれるなど、新たな取り組みも始めた(ホリエモンが教育ビジネスに取り組む真意 「あと何年かで“ゼロ高出身のスーパースター”が出てくる」参照)。
設立以来、勢いを強め続ける同社だが、最初の8年間は一切広告費を使わなかったといい、これまでに使った累計広告費は「100万円に満たない」と羽織氏は語る。大手企業も進出する教育ビジネスの中で、明らかに異色の戦い方で奮闘する同社は、どのような戦略を実行してきたのか。その勝因はどこにあったのか――代表の羽織氏に聞いた。
羽織愛(はおり・あい) SUNNY BUNNY Language Education株式会社 代表取締役・ZERO International Preschool代表・NPO法人早期英語教育研究会理事長。日本の英語教育改革をライフワークとする言語教育専門家。2006年に親子向け英語サークルとして、SUNNY BUNNYを立ち上げ。2013年に法人化。2021年現在、都内に子供向け英語教室を3教室展開している。拓殖大學大学院卒業、英語教育学修士。著書に『1日5分からの英語で子育て』(すばる舎)がある(撮影:山崎裕一)
“暗黙の諦め”がまかり通っている業界
――幼児向けの英語教育というのは、大企業のライバルも多く、レッドオーシャンに思えます。端的に言って、何が他の企業と違ったと言えるのでしょうか。
実際に、子どもたちが英語をちゃんと喋れるようになるんですよね。もちろん、色々な違いはありますが、それが最大の違いなのではと思います。
――お言葉ですが、英語スクールに通って英語が喋れるようになるのは当たり前ではないのでしょうか。
それが違うんです。なぜか、幼児英語教育を受ける側にも「通わせても喋れるようにはならない」というような“暗黙の諦め”がまかり通ってしまっています。実際、同業者に「喋れるようにならないから儲(もう)かるのに」とくぎをさされたこともあります。
スイミングスクールに通って泳げるようにならなかったらクレームが入ると思うんですが、10年通って喋れなくてもそうはならないのがこの業界です。私が参入してみて感じた実感として、言い方は悪いですが、幼児教育業界というのは「素人」ばかりなんです。ご自身が英語を喋れるというだけで、何の教育的プランもなく開業してしまう方もいます。
近年、需要も高まっているので、色々な企業が集まってきていますが、皆さんよく分からないままやっている。私はもともと英語教員免許を取得した後、大学院で言語教育を学び、英語科教員免許の上位資格である専修免許も取得しています。そこからもずっと理論と実践を繰り返し、学び続けています。私が信じたやり方を持ち込み、実際に子どもたちが英語を喋れるようになったことで、評判が評判を呼び、現状に至っている――という感覚です。
関連記事
- ホリエモンが教育ビジネスに取り組む真意 「あと何年かで“ゼロ高出身のスーパースター”が出てくる」
堀江貴文氏が主宰するサポート校「ゼロ高等学院」は、座学ではなく行動を目的として新たな学習形態を提供している。さらに堀江氏を顧問に迎えたプリスクール「ZERO International Preschool」が9月に開園。3歳から6歳を対象に生徒の募集を始めていて、堀江氏もオンラインを中心にカリキュラムに助言していくという。堀江氏の展望を聞いた。 - ホリエモンが語る「経営者に最も必要な能力」 他人と同じことを他人以上にしつこくやれ!
ホリエモンこと堀江貴文が考える「経営者に最も必要な能力」について語ってもらった。 - ホリエモンが「ランチでは5000円以上のうな丼を食え!」と豪語する理由 500円ランチをしているヤツに人は集まらない
ホリエモンが「ランチでは5000円以上のうな丼を食え!」と豪語する理由とは? - ホリエモンがオンラインサロンの月会費を「1万1000円」に設定した理由
あまたの事業を成功させてきた起業家、ホリエモンこと堀江貴文。時代の寵児(ちょうじ)といわれ、ITビジネスや宇宙事業など、それまでの常識を覆す手法で自らの構想や事業を実現してきた。今回は書籍の内容から、堀江が運営するオンラインサロンの経営者として感じていること、金額設定の理由について語ってもらう。 - ホリエモンが「テレビはインターネットに完敗した」と断言する、これだけの理由
ホリエモンこと堀江貴文が考える今後のメディアビジネスの方向性を語ってもらった。堀江は2020年3月、日本のメディアが成功していないカルロス・ゴーン氏の単独インタビューを実現した。「あらためて思う。マスコミ、とりわけテレビの役割は、もう終わりつつある」という。ホリエモンのメディア論とは? - ホリエモンが、「多額の借金を抱えるビジネスパーソン」をポジティブに評価する意外な理由
起業家ホリエモンこと堀江貴文が考える「経営者に必要な能力」、特にお金との関係について語ってもらった。 - ホリエモンが語る「成功する経営者のマネジメント術」 干渉せず、丸投げに徹しろ
ホリエモンこと堀江貴文が考える「成功する経営者のマネジメント術」について語ってもらった。 - ホリエモンが語る「裏切りへのリスクヘッジ」 信用とスピード感はトレードオフ
宇宙事業や、過去の失敗エピソードを交えて経営者としてのメッセージを贈った近刊『やりきる力』(学研プラス)から堀江氏が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。 - ホリエモンが「修業は、まぎれもなく時間の浪費だ」と主張する真意
ホリエモンこと堀江貴文が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。堀江は常に「修業はいらない」と主張している。その真意は? - ホリエモンが書店ビジネスで勝てた理由 ブルーオーシャン戦略を考え抜き、価値を「再定義」せよ
ホリエモンこと堀江貴文氏が考える「経営者に必要な能力」について語ってもらった。 - ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
ホリエモンはなぜ「子宮頸がんワクチン」を推進しているのだろうか。その裏には、政治に翻弄された「守れるはずの命」があった。 - ひろゆき流「職場の同調圧力」に負けない方法――他人から嫌われない人なんて存在しない
鋼のメンタル王・ひろゆきが教える、いつでもどこでもマイペースを貫く、逆転の思考法! 職場で「他人を攻撃する迷惑な人」と賢く距離を取り、スルーする方法について3回にわたってお届けする。第3回目は職場の「同調圧力」を乗り越える方法について。 - ホリエモンが語る「修業期間」を真っ先に捨てるべき、これだけの理由――職人ではなく「経営者」になれ
本当にそれは必要ですか? 経営者としての「ホリエモン流」人生哲学。ビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していく。後編は修業期間というものがいかに無意味かに加えて、経営者視点に立つことの重要性をお伝えする。 - ホリエモンが「東大卒ブランド」を捨てた理由――私はこうして起業家人生をスタートさせた
本当にそれは必要ですか? 経営者としての「ホリエモン流」人生哲学。ビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していく。前編は東大を中退し起業家人生をいかにスタートさせたのかをお届けする。 - ホリエモンが社員を「切り捨て」てきた真意――サラリーマン社会も楽な方に変えられる
本当にそれは必要ですか? 経営者としての「ホリエモン流」人生哲学。ビジネスにまつわる「捨てる」ことの意義を、3回に分けて紹介していく。中編はホリエモンが社員を「切り捨て」てきた真意を語る。 - ホリエモンが語る飲食ビジネス「集客成功の法則」――世界のセレブを落とし続けた「インスタマーケティング」の秘密
IT起業家として、インターネット黎明期から第一線を走り続けているホリエモンこと堀江貴文。堀江の行動原理はしばしば「多動」とも呼ばれているが、その多動的な行動を支えているのは実はスマートフォンだ。堀江は自身の仕事においてPCはほとんど使わず、スマホを使って多くの関係者とコミュニケーションを取りながら複数のビジネスを回している。連載第1回は堀江が携わっている最高級の和牛ブランドを世界に広める飲食事業「WAGYUMAFIA(ワギュウマフィア)」を例に、飲食ビジネスにおける集客を成功させるための法則について語ってもらった。 - 堀江貴文が語る、ジャニーズ事務所「新時代の海外戦略」――“嵐×Netflix”はテレビ主役時代の「終わりの始まり」
IT起業家として、インターネット黎明期から第一線を走り続けているホリエモンこと堀江貴文。堀江の行動原理はしばしば「多動」とも呼ばれているが、その多動的な行動を支えているのは実はスマートフォンだ。堀江は自身の仕事においてPCはほとんど使わず、スマホを使って多くの関係者とコミュニケーションを取りながら複数のビジネスを回している。第2回はジャニーズ事務所の海外戦略などを例に、動画配信が変えるビジネスの変化について語る。 - ひろゆきが斬る「ここがマズいよ働き方改革!」――「年収2000万円以下の会社員」が目指すべきこと
平成のネット史の最重要人物「ひろゆき」への独占インタビュー。ひろゆきの仕事観・仕事哲学を3回に分けて余すことなくお届けする。中編のテーマは「働き方」――。 - ひろゆき流「職場に振り回されないメンタル術」 ムカつく上司、バカな同僚は“動物”だと思え!
鋼のメンタル王・ひろゆきが教える、いつでもどこでもマイペースを貫く、逆転の思考法! 職場で「他人を攻撃する迷惑な人」と賢く距離を取り、スルーする方法について3回にわたってお届けする。第1回目は「他人に振り回されないメンタル術」のヒント。 - ひろゆき流「転職の裏ワザ」――履歴書の書き方、自己アピールの方法
鋼のメンタル王・ひろゆきが教える、いつでもどこでもマイペースを貫く、逆転の思考法! 職場で「他人を攻撃する迷惑な人」と賢く距離を取り、スルーする方法について3回にわたってお届けする。第2回目は履歴書の書き方、自己アピールの方法について。 - 滝沢秀明ジャニーズ事務所副社長 10年前にYouTubeに目を付けていたビジネスセンスと先見性に迫る
新型コロナウイルスでライブや演劇は軒並み中止になる中、ジャニーズ事務所は防護服を医療従事者に寄付したり、チャリティーソングを制作したりすると発表。単に利益を求める営利企業であるわけではなく、社会貢献への意識が強い組織であることをあらためて印象づけた。社会貢献活動のプロデューサーを務めるのが同事務所の滝沢秀明副社長だ。滝沢秀明は実は10年前にYouTubeに目を付けるなど“ビジネス的な先見性”を持つ。“ジャニーズを具体例としたビジネス書”を執筆した筆者が解説する。 - 滝沢秀明がジャニー喜多川の「後継者」となった理由
日本の芸能史を変えてきた男たちに学ぶ仕事術と人材育成術を3回に分けてお届けする中編。なぜ滝沢秀明はジャニー喜多川の「後継者」となれたのか? その理由に迫る。 - ひろゆきが斬る「ここがマズいよ働き方改革!」――「年収2000万円以下の会社員」が目指すべきこと
平成のネット史の最重要人物「ひろゆき」への独占インタビュー。ひろゆきの仕事観・仕事哲学を3回に分けて余すことなくお届けする。中編のテーマは「働き方」――。 - ひろゆきが“日本の未来”を憂う理由――「他人は変えられない」
「平成ネット史」の最重要人物、ひろゆきへの独占インタビュー最終回――。ひろゆきはなぜ「日本の未来」を憂うのか? - 【独占】ひろゆきが語る「“天才”と“狂気”を分けるもの」
平成のネット史の最重要人物「ひろゆき」への独占インタビュー。ひろゆきの仕事観・仕事哲学を3回に分けて余すことなくお届けする。前編のテーマは「“天才”と“狂気”を分けるもの」――。 - ひろゆき流“オワコン日本”の幸福論―― 他人とズレていたほうが幸せになれる!!
ひろゆきこと西村博之氏が、令和時代を迎える日本が今後どんなふうにヤバくなるのか、沈みゆく日本で生き抜くためにはどうしたらいいのかを3回にわたって提言。最終回は“オワコン日本”でも「おいしく」生きていくための方法論。 - ホリエモンが政治家に頭を下げてまで「子宮頸がんワクチン」を推進する理由
ホリエモンはなぜ「子宮頸がんワクチン」を推進しているのだろうか。その裏には、政治に翻弄された「守れるはずの命」があった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.