10%に満たない女性管理職 なぜ「上」に行けないのか:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(5/5 ページ)
女性軽視発言やセクハラについては、多くの人たちが問題にするようになった。しかし「女性リーダーの数を増やす」ことには否定的な意見も多く、結果として女性管理職は8.9%、女性の衆議院議員は9.9%と非常に低い。なぜ女性は「上」に行けないのか。
いずれにせよ、女性が多い組織はザワザワしていて、元気がいい。組織を変えたければ「若者、よそ者、バカ者を入れよ!」といわれるように、男社会特有の教条主義や前例主義に「よそ者」である女性が風穴をあけ、「意見が言える組織」が出来上がるのです。
ただし、マイノリティーである「女性」が意見を堂々と言えるには、最低でもグループに「3割の女性」が必要不可欠です。1割=紅一点だと、男性に排除されるか、同化させるかのどちらかになり、2割だと遠慮して言いたいことが言えません。やっと3割になって意見が言えるようになり、4割になると「女性の視点って面白いね! もっと意見を聞きたい! みんなももっと意見だそうよ!」という空気が熟成され、性別などの属性の壁が崩壊します。
さて、あなたはいつまで「男だから〜」「女だから〜」と言い続けますか? あるいは、「壁崩壊」に向かうための「変革の担い手」を目指すか?
どちらが「自由」な社会なのか? 是非とも考えてみてください。
河合薫氏のプロフィール:
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)がある。
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