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東海道新幹線「のぞみ」のビジネスパーソン向け「S Work車両」とは何か杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/7 ページ)

JR東海は10月1日より東海道・山陽新幹線「のぞみ」号の7号車を「S Work車両」とし、9月1日より販売を開始した。期間は2022年3月31日まで。ビジネスパーソン向けの指定席として、座席通話、PCの打鍵音などを相互に許容し合う車両となる。ビジネスパーソンへの販促策だが、背景には乗客の多様化がある。

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 JR東海は10月1日より東海道・山陽新幹線の「のぞみ」号の7号車を「S Work車両」とし、9月1日より販売を開始した。「ビジネスパーソン向けに、マナーを守りつつパソコン等を気兼ねなくお使いいただける車両」という主旨で、「S」には「新幹線(Shinkansen)」と「Seamless」の意味を込めた。新幹線で移動する間も途切れることなく仕事を進めたい人向けだ。

 「S Work車両」はビジネスパーソン向けの指定席として、いままで「ご遠慮ください」と案内してきた「座席で通話」を認めるほか、自他のPCの打鍵音、オンラインミーティングの発声などは「お互い様と許容していただく」車両となる。


JR東海「S Work車両」紹介ページ。正式サービスと同等の扱いだ

 利用期間は2022年3月31日まで。ただし年末年始(12月28日〜1月6日)は利用できない。報道資料には「試行」とあるから、長期運用テストで好評なら延期、不評なら取りやめという意味を含む。それにしても「のぞみ」全列車で設定するから大規模な試行である。

 もっとも、取りやめる材料はいまのところない。取りやめるとすれば、満席にもかかわらず「S Work車両」だけ空席で、嫌悪されているとなった場合だろう。しかし緊急事態宣言下で遺憾ながら全体的に空席だ。むしろ「S Work車両」は空席対策で、ビジネスパーソンに乗ってもらいたいという販促策といえる。

 むしろ懸念は「S Work車両」に生まれる新しいマナーだ。「やっぱり仕事やめた。ビールを飲んじゃおう」という人と、仕事をする人の温度差がトラブルのタネになりそうだ。どうか杞憂(きゆう)であってほしい。

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