4年連続の赤字だったアイドルフェス 「@JAM」の仕掛け人は、いかにして黒字化させたのか?:アイドルプロデューサーの「敗北、信念、復活、成功」【後編】(3/5 ページ)
ポップカルチャーフェス「@JAM」の総合プロデューサーを務める橋元恵一さんに、当初は赤字続きだったフェスをいかにして黒字化させたのかを聞いた。
コロナで変わったビジネスの在り方
――ようやく成功にたどり着くわけですが、この2年間は新型コロナウイルスの感染拡大で多くの領域が影響を受けています。ビジネスの進め方は変わりましたか?
@JAM EXPOのような大きなフェスは1年がかりで準備します。会場に関しても、基本的には1年前から予約して準備を進めていきます。そういう意味でいうと何か問題が発生した場合、19年からの1年間の準備が台無しになるということです。
開催に向けては、8年間かけて築いてきたルーティーンのスケジューリングがあって、イベントはいつのタイミングで発表し、いつからチケット売るというルールが全て根こそぎ壊れました。
通常だと3カ月前から先行チケットを売り、1カ月前に一般発売という流れです。コロナ禍以降は、1カ月前にイベントの情報を出し、2週間前にチケットを売り始めるようになってしまいました。なぜなら、緊急事態宣言下で、イベント自体がなくなってしまう可能性もあるからです。
もし、イベント自体が中止になった場合、払い戻し手数料も含めて全てこちらの負担になってしまいます。そうであればなるべく売らない方がいいんじゃないか、ギリギリまでチケットを売らないのであれば情報も一気に出した方がいいんじゃないかなど、戦略も一変しました。稼ぎ方も変わりました。オンラインライブも含め、本当にエンタメは大きく変わってしまいました。
――この状況をどう感じていますか?
コロナ禍以降、できるだけ同調しながらやってきたつもりですが、気分としては今後もそこを勉強して広げていこうという気にはならないです。やっぱりライブの仕事は、お客さんがいて、演者がいて、その一体感と熱量が必須です。一日も早くその状況に戻したい思いしかないです。
オンラインライブとはいいますが、テレビ収録に近い部分はあります。お客さんからすればテレビを見ているようなもので、それは本来のライブではないと感じてしまいます。
――しかし、現実には今もコロナ禍にあります。ライブイベントへの影響は?
20年に開催した@JAM EXPOは、横浜アリーナで開催できなかったので、オンラインフェスにしました。他にも、かなりのオンラインイベントを開催しました。やってこそですが、やっぱりオンラインライブはビジネス的には厳しいなと思ってしまいました。
なかなか収益は上がらないですね。本当に一部のアーティストは別だと思います。例えばサザンオールスターズが横浜アリーナでライブをやりました。実際に開催すれば最大2万人のところ、50万人が配信を観ました。売り上げも青天井で良かったですねと捉えられますが、なかなか現実にそうはいかない。
成功しているアーティストがいる一方で、配信機材を用意して配信環境を作り、それを配信したところで、リアルのお客さんには届かない。特に規模が小さいアーティストは顕著です。また、成功しているアーティストも配信だけやっていればいいかというと、絶対にそんなことはないと思うんです。
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