4年連続の赤字だったアイドルフェス 「@JAM」の仕掛け人は、いかにして黒字化させたのか?:アイドルプロデューサーの「敗北、信念、復活、成功」【後編】(4/5 ページ)
ポップカルチャーフェス「@JAM」の総合プロデューサーを務める橋元恵一さんに、当初は赤字続きだったフェスをいかにして黒字化させたのかを聞いた。
35%で収益の採算分岐点を作る必要
――コロナ禍における規制当局のガイドラインでは、5000人を上限、収容定員の50%を上限(いずれか小さい方)とされています。どのような対応を取っていますか?
お客さんが収容定員の50%でも収益を上げるためには、ビジネスをどう設計していけばいいかということになります。この状況下にリアルでお客さんを入れる場合、今までのノウハウでは難しいのが実情です。お客さんが50%とは、もともとの集客の採算分岐点を70%とすると、50%に対しての70%、つまり35%あたりになってしまいます。35%で収益の採算分岐点を設計しなければならない。そうすると、1人当たりのチケット金額がとてつもなく上がってしまうんですよね。
加えて、同時配信、リアルとオンラインのハイブリッドで開催するとなると、配信の手配などの準備もしなければならず、その費用負担はお客さんに強いることになってしまう。結局、いろいろな状況を踏まえると、チケット代を従来の3倍ぐらいにしなければならないのですが、実際にはそうもいかずで……。
――そんな状況下で、8月27〜29日まで横浜アリーナで開催する@JAM EXPOの準備を進めているのですね(編集部注:インタビューは開催前に実施した)。
コロナ禍では、これまでやってきたことができない実情があります。この現状でできることをやろうと議論し準備してきました。
本来なら、メインアリーナに1万人ほどのお客さんが入れるようになっています。それとは別に、外に5つのステージがあるんです。大小さまざまなステージを、あっちに行ったり、こっちに行ったりするアトラクション的な、遊園地的なフェスなのです。
しかしコロナの影響で、大小さまざまなステージを作ることができず、ステージ数をいくつか減らしています。そうなると、多くのお客さんは基本アリーナの中にいてもらわなくてはならない。ロビーに密を作ってはいけないなど多くの対策を考えなければなりません。人流をコントロールし、密をつくらないため、アリーナ内にどういうコンテンツを作り、どんなラインアップにするか考えているところです。
――安全に開催されることを祈念しています。これからの橋元さんは、何を目指しているのですか?
10年前まではJ-POPシーンの傍らを走っていて、その後、ライブ事業でもJ-POPフェスをやり、それはそれで楽しかった。並行して@JAMをやっていている中、J-POPシーンにも関わることは良いモチベーションになっていました。ですが今は9割が@JAMの仕事です。
10年前の僕を知っている人は、「えっ!? アイドルやってんの」という感じかもしれませんが、今はアイドルシーンをけん引する立場の一人だと思っています。コロナ禍にあってもアイドルシーンをどう支えていくかが目下の一番の課題で、これに取り組んでいくつもりです。
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