盗まれないの? 東京の「無人果物店」は、なぜ“48時間”にこだわるのか:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
無人店舗が増えてきた。テクノロジーの進歩や人手不足などが背景にあるようだが、筆者が気になっているのは「無人果物店」である。どんなビジネスを展開しているのかというと……。
わざわざ足を運ぶ
2020年7月と9月に、都内の5カ所で試験的に販売したところ、予想以上に売れた。しかし、販売するのは不定期である。「いつ販売しているのかよく分からない商品って、売れるのかなあ」と思っていたところ、SNSをうまく活用していたのだ。
例えば、販売日の朝に「畑からの産地中継」を行っている。畑の様子だけでなく、おいしい果物の見分け方など、情報をどんどん伝えていく。こうした取り組みをしたことで、どういった効果が生まれたのか。無人販売所といえば、その前をフラッと歩いた人が「むむっ、おいしそうな桃があるじゃないか。2つ買っていくか」といった感じで、通りすがり需要が多いのかなと思っていたが、違う。SNSを通じて、その価値を認めた人がわざわざ足を運ぶケースが増えているのだ。
昨年の試験的な取り組みが成功したことを受けて、今年は4月から展開している。いちご、さくらんぼ、桃などを販売し、9月からはぶどうである。改造したハンガーラックには、基本的に2日分の商品を並べているが、人気のある果物は3時間ほどで消えてしまう。では、売れ残ったモノはどうしているのだろうか。「収穫から48時間以内のモノしか売らない」となると、その日の天候などによっては売れ残ることもあるはずだ。
「無人スタンドを設置しているのは、カフェなどの軒先が多いんですよね。余った商品は、その店の冷蔵庫に入れて、ケーキなどの材料として使っていただく。全部買い取っていただくのではなく、使ったぶんだけ精算する形ですね」(有井さん)。廃棄をできるだけ少なくする試みは、いま風でとてもよいではないか。
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