超難関大学の米ミネルバと提携 なぜ社員6人のスタートアップが選ばれたのか:実現できた2つの理由(6/6 ページ)
福岡県糸島市を拠点とするスタートアップのこっから社が、ミネルバ・プロジェクトと提携を発表し反響を呼んだ。両社が実施する社会人向けリーダーシッププログラム「マネジング・コンプレキシティ」の内容と事業提携にいたった背景をこっから社に聞いた。
重要なのは「不安」に支配されないこと
こっから社は、「人生を、Playful(プレイフル)に」をビジョンとしている。プレイフルとは、物事に本気で向き合うからこそ生まれる、ワクワク・ドキドキする心の状態を指し、人生を楽しむためのエンジンとして考えだされた概念を指す。生み出す事業やメンバーが仕事に向かう姿勢もプレイフルを大事にしているそうだ。
「ビッグネームとの事業提携であり、彼らのブランド力を生かして、しっかり利益を出したい、同時に当社のブランド力を上げたいという野心は当然あります。でも、『そうしなければならない』という不安が生まれた瞬間、その後の行動に前向きなエネルギーがわかなくなる。不安に支配され、過度な成長を目指すのではなく、プレイフルな状態を維持しながら、適度な成長を目指したいなと。
だからこそ、一般企業なら当然の判断軸である『損か得か』だけじゃなく、自分たちの感覚、思いも含めて全員で話し合い、事業提携を決めました。会社の規模が大きくなると、感情をさらけ出す話し合いって、きっと難しいですよね。その結果、得にならないことには踏み出せないのだと思います」(大谷氏)
筆者は、17年に福岡県糸島市のこっから社へ、取材で訪れた経験がある。豊かな自然に囲まれた一軒家のオフィスはバツグンに居心地が良く、メンバーはとにかく仲がいい。「遊び心のあるオフィスで気の合う仲間と働くのは、楽しいに違いない」とうらやましく感じた。当時の“彼ららしさ”は、今も一切変わらないそうだ。
10月から開催予定の社会人向けリーダーシッププログラム「マネジング・コンプレキシティ」は、すでにNECなど複数の大手企業の参加が決定し、数多くの問い合わせがきているという。この事業提携が日本企業にどんな変化をもたらすのか、期待したい。
写真提供:こっから社
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