超難関大学の米ミネルバと提携 なぜ社員6人のスタートアップが選ばれたのか:実現できた2つの理由(5/6 ページ)
福岡県糸島市を拠点とするスタートアップのこっから社が、ミネルバ・プロジェクトと提携を発表し反響を呼んだ。両社が実施する社会人向けリーダーシッププログラム「マネジング・コンプレキシティ」の内容と事業提携にいたった背景をこっから社に聞いた。
事業提携を実現できた2つの理由とは
こっから社は、黒川氏を除く5人で16年に創業。全員がCo-Founder/代表社員の肩書を持つフラットな組織で、人材・組織開発プログラムや人事領域のコンサルティングなどを提供している。18年に黒川氏が加わり、現在は6人体制に。同時期に、グループ会社としてプレイフォー社を創業し、フォーの専門店「フォーティントーキョー」を池袋と新宿にオープン。ベトナムで不動の人気を誇る名店の日本初上陸を成功させた。
ミネルバ・プロジェクトとの提携でいうと、こっから社より一足早く、20年にリクルートがミネルバの教育カリキュラムを高校生向けに展開したが、広く教育事業を共同展開していく形での事業提携は日本初とのこと。こっから社が提携を発表したプレスリリースは広く拡散された。
こっから社は4人がリクルート出身であり、同社と深いつながりを持つ。パナソニックや東日本旅客鉄道など、大手との取引実績もある。とはいえ、創業6年目のスタートアップと世界的に知名度が高いミネルバ・プロジェクトが事業提携したニュースには、ギャップも感じる。なぜ、こっから社は日本初の提携を実現できたのだろうか。
「ミネルバとの出会いは、リクルートとのつながりがキッカケです。同社は、社内研修としてミネルバのプログラムをすでに導入していましたが、日本人向けに教えられるファシリテーターが見つからず、私に声がかかりました。私は約12年間の外交官経験があり、現在は組織開発・人材開発を生業(なりわい)としている。そのため、英語でのトレーニングに耐え得るだろうということで指名されたのだと思います。
2019年からファシリテーターを務めていたところ、ミネルバから『海外の他企業に向けてイノベーションをテーマに授業を作ってほしい』など、直接のオファーを受けるようになり、少しずつ関係を築いていきました。そういったつながりと周囲の推薦があり、先方から『日本企業向けのリーダーシップ・プログラムを広く展開していかないか』と誘いを受けた次第です」(黒川氏)
「今回の事業提携が実現したのは、第一に公晴(黒川氏)の実力が大きいと思います。それに加えて、僕らが合理的な選択をしなかったこともあるのかなと。僕らより先に先方との関係を築いていたリクルートをはじめ、提携候補は複数あったと思いますが、海外の企業と提携して新たなマーケットを作っていくのは、リスクを背負います。
そのうえ、事業提携にあたり、こちら側もかなりの資金を払う必要がある。正直、簡単に採算がとれるとは言えないと思います。でも僕らは、未来の組織に起こる変化を大きな時間軸で捉え、このボールは打ったほうがおもしろいよねと結論づけました」(大谷氏)
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