家具・家電のサブスク「CLAS」の売り上げが、3倍ペースで伸びているワケ:採算より「ビジョン」を優先(4/6 ページ)
家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」(クラス)は、9月に総額約21億円の資金調達を発表した。毎年3倍ペースで成長している同社は、この資金調達でさらなる事業規模の拡大を狙う。どのような暮らしの未来を描き、どのような戦略で事業成長を遂げてきたのか。
複雑なオペレーションを効率化させる工夫
クラスのビジネスモデルでは、家具・家電を販売するメーカーと事業収益を分配するレベニューシェア契約を締結している。これは、対象の家具・家電をクラスが預かり、ユーザーからのレンタル利用が発生した場合に、売り上げをシェアする契約だ。メーカー側からすると手を動かさずに継続収益を見込めるだけでなく、新規顧客開拓にもなる好都合の仕組みであることから、メーカー側から提携を持ちかけられることが多いという。
提携先を広げることには苦労しないが、クラスは受注、配送、返却、交換、修理といった一連のオペレーションをメーカーの代わりに担っている。自宅やオフィスで長期にわたって使用するものであり、あらゆる問い合わせや細々とした要望が常時発生しうるのではないか。
「確かにオペレーションの難易度は高いです。ただ、顧客満足度の高い対応ができるようになって初めてアクセルを踏むというプロダクトファーストがポリシーなので、収集がつかないような混乱は生まれていません。
また、創業のタイミングで複雑性の高い理想像を描き、そこに到達するために逆算思考でプロセスを作り込みました。具体例をあげると、商品を脚、天板、ネジなどパーツ単位で管理していて、発注・在庫管理・出入庫状況などが一気通貫した基幹システムを採用しています。一部、エクセル管理や手作業が含まれますが、ゆくゆくは自動化する予定です」
プロダクトファーストの姿勢と徹底した効率化が、同社の複雑なオペレーションを支えているというわけだ。故障・破損にまつわるトラブルは一定確率であるそうだが、粛々と対応するに尽きるとのこと。
「雑に扱われてしまう、経年劣化かどうかの判断が難しいなど懸念はありつつ、新規性の高いビジネスなのだからリスクはあって当然だろうと。スタートアップは割り切る姿勢がないと、身動きが取れなくなると思っています」
関連記事
- 「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由
「オレが若いころは……」「マネジメントとは管理することだ」といったことを言う上司がいるが、こうした人たちは本当にマネジメントができているのだろうか。日本マイクロソフトで業務執行役員を務めた澤円氏は「そうしたマネージャーは、その職を降りたほうがいい」という。なぜかというと……。 - 真っ先に変えるべきは日本人の「思考」 オードリー・タンが貫く「透明性」と「多様性」
新型コロナの封じ込め戦略など、台湾の存在感が抜きん出ている。その中心人物として活躍しているのが、デジタル担当政務委員大臣のオードリー・タン氏だ。コロナ禍を通じて、日本が台湾に学ぶべきことは何か。 - トイレ界のスタバを目指す! 東南アジアに広がる「1回33円」の有料トイレ
タイやベトナムなどで、有料の公衆トイレが人気を集めている。運営しているのは、スイスの会社「ミスター・ルー」。1回33円の有料トイレはどんなところなのか。共同創業者の2人に話を聞いた。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - サントリー新浪社長を叩いても、「45歳定年制」が遅かれ早かれ普及するワケ
サントリーホールディングスの新浪剛史社長による、「45歳定年制」の提言が波紋を呼んでいる。「サントリー不買」を呼びかける人も出ているが、ボコボコに叩くのは“正しい”ことなのか。筆者の窪田氏は……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.