どこでもドアならぬ、どこでも窓「アトモフウィンドウ」が昨対比4倍で売れているワケ:未来のインタフェース(3/6 ページ)
コロナ禍で約4倍に販売数を伸ばしているという、世界とつながる窓「アトモフウィンドウ2」。独自に撮影した世界各国の映像動画を写すことができる窓は、どこでもドアならぬ、「どこでも窓」のよう。コロナ禍での需要増や事業戦略を聞いた。
本体ではもうけない。サブスク会員を増やす戦略
アトモフは、15年にクラウドファンディングのMakuake(マクアケ)で初代製品となる「アトモフウィンドウ」を発表。新規性が注目を浴び、約3000万円の資金調達に成功した。
「製品を発表する前は、投資家の方に『君が欲しいだけでしょ』とよく言われました。ですが、クラウドファンディングで一定の需要を証明できたことで、後に多額の投資を得ることに成功。なんとか製品化にこぎつけました。というのも、まだ世の中にないハードウェアをつくるために、億単位の資金が必要だったんです」
姜氏は大学でロボット工学を学び、任天堂のソフトウェアエンジニアの経歴を持つが、起業当時は「ハードウェアに莫大な資金がかかる事実」を知らなかったそうだ。共同創業者で、元任天堂のソフトウェアエンジニア・中野恭兵氏もまた同じく。「もし知っていたら、最初から挑戦しなかったかもしれない。資金面は確かにハードルだったが、無知だったからこそ突き進めたのだと思う」と姜氏は言う。
その後、改良を重ねたのち、19年に「アトモフウィンドウ2」を発売。同製品もMakuakeで5000万円を超える反響を得た。初代は約7万円だった価格を、2代目は約5万円に引き下げており、この価格設定にはアトモフの戦略が表れている。
「金型代の回収を踏まえ、当初は7万円で販売していましたが、そもそも本体だけで利益を出すことは考えていません。そのため、2代目を発売するタイミングでコンテンツビジネスにシフトし、価格を5万円弱まで下げました。台数を増やすことを最優先にして、サブスクリプションによって利益を出すビジネスモデルです」
より気軽に購入できるよう、分割手数料無料で3回の後払いができる「Paidy(ペイディ)」や30日間の返品可能、さらには家電お試しサービス「Rentio(レンティオ)」でのレンタル利用も導入。レンタルでお試し利用した後に、購入する人も一定数いる。本体を購入した人の多くは、サブスクリプションに加入するそうだ。
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