8億円のホテルをネットで「今すぐ購入」! 「NOT A HOTEL」の新規性に迫る:年30日のシェア買いも(3/6 ページ)
「世界中にあなたの家を」をコンセプトに、4月に創業した「NOT A HOTEL」。同社では、数千万円から数億円の施設をD2Cでオンライン販売する大胆なビジネスモデルを採用している。1棟買いのほかに、年間30日だけ使えるシェア買いも用意し、一定層に反響を得ているという。同社の戦略を聞いたところ……。
魅力的だが土地代が安い「穴場」のリゾート
宮崎県青島や栃木県那須といった場所にリゾート施設を建設した狙いについて、濱渦氏は「魅力的ながら人気が集中していないエリアを選んだ」と語る。
「青島や那須は、那覇や軽井沢など定番の観光地に近い場所でありながら、土地代が安く抑えられるのが魅力でした。那須は東京から新幹線でわずか1時間、宮崎は東京から2時間かからず、沖縄よりも早く着く。土地代を抑えたぶん、建築に予算を使えるため、プールやサウナ、源泉かけ流しの温泉、露天風呂などの施設を備えたリゾートを現在の価格で提供できています」
もし、現在の建築を軽井沢でつくったら、2倍ほどの予算がかかるとか。近年の観光スタイルとして、周辺観光よりも施設内で過ごす時間が増えている傾向を踏まえ、施設内で長時間快適に過ごせることを重視しているそうだ。
ターゲットとするのは、30〜50代の比較的若い経営者層。実際、NOT A HOTELがこの世代から反響がいい理由について、3つのポイントがささっているのではないかと濱渦氏は分析する。
「建築デザイン、ロケーション、テクノロジーを駆使したスマートハウスの3つが、彼らにウケているような気がします。NOT A HOTELは、バブリーでラグジュアリーなデザインではなく、アート作品のようなテイストを採用しています。
また、専用アプリ内で鍵の開け閉めや温度、湿度、明かりの調整、宿泊・収入の管理までスムーズに行える。立地的にも利便性が高い。リスクを抑えながら良いものをシェアで安く買うというのも、この世代らしいかなと思います」
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