モノを売らずに体験を売る 資生堂が銀座の一等地で“最先端の瞑想”を提供するワケ:インナービューティーチャージ(2/4 ページ)
資生堂が銀座にかまえる「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE(以下、GFS)」は、業界内でも目新しい体験を提供している。
装着するデバイスで利用者の“気持ち”を解析
インナービューティーチャージのプログラムはデジタルを活用したセルフ方式を採用。ヘッドフォンの音声を頼りに画面を操作し、実施中は人と関わることなく没入感のあるメディテーション体験を提供する。
「外見を磨いても、気分や気持ちによって前向きになれないこともある。ブランドは外面と内面に、ホリスティックなアプローチをしたいと考えており、内面の美を輝かせたいというのがメディテーションを提供する理由だ」(平山マネージャー)。そのため、老若男女をターゲットとしており、これまでの来客層である30〜40代女性だけでなく、海外客や男性客も呼び込みたいと話す。
今回のリニューアルでは、元は1つだったコースを4コースに増やした。額に装着するデバイスから利用者の“気持ち”を測り、適したコースをレコメンドする仕組みだ。“気持ち”の解析方法の詳細は非公開とされているものの、快・不快、覚醒・鎮静の両軸から現在の状態を計るという。パーソナライズされた提案ができることがリニューアル後の特徴だ。
資生堂の調査によると、人はそれぞれ“ストレスがない状態”と聞いて想像するものが違った。そこで回答が多かったキーワードから、「INSPIRE(集中力を養い、想像力を高める)」「ACTIVE(心と身体をリフレッシュ)」「EMPOWER(より前向きに自信をつける)」「CALM(気持ちを落ち着かせ心をクリアにする)」の4コースを作成した。
いずれのプログラムも五感に働きかけるもので、ブランドの代表製品である美容液「アルティミューン」の香りや、左右の耳に周波数の異なる音を聴かせるバイノーラルビート、色が変化する光、暖かくなるシートの温度などがリラックスを与え、自分と向き合う時間を作り出す。
関連記事
- 「美白」や「はだいろ」が消える 日本は世界の動きについていけるのか
花王が「美白」表現を取りやめると報じられた。この動きは多様性に配慮したもので国内企業では初めて。しかし世界ではより一歩進んだ動きがみられると筆者は指摘する。 - ホテル1室のアメニティー、清掃費用は一体いくら? ホテルの気になる“原価”あれこれ
コロナ禍で価格が下がっているホテル利用料金。そもそも原価はどのくらいなのだろうか。運営会社に取材を試みた。 - SUV専用タイヤが靴底に 洋服の青山とブリヂストンが作った革靴は何が違うのか
青山商事が、ソールにSUV用タイヤのトレッドパターンを採用した革靴を発売している。 - マッチングアプリのノウハウを応用 元リクルート社員が手掛けた1対1のパーソナルジムは何が違うのか
ありとあらゆるものが「リモート」化する中、19年から1対1のオンライントレーニングを提供するサービスがある。「ZENNA(ゼンナ)」だ。手掛けたのは、元リクルートの中川純希氏。かつて携わったマッチングアプリのノウハウが生かされている。 - なぜデサントはカスタムして“着続けられる”ウェアをつくったのか
スポーツブランドの「デサント(DESCENTE)」を展開するデサントが、1着をカスタムして着続けられる新プロジェクト「DESCENTE CONNECT」を発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.