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モノを売らずに体験を売る 資生堂が銀座の一等地で“最先端の瞑想”を提供するワケ:インナービューティーチャージ(3/4 ページ)
資生堂が銀座にかまえる「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE(以下、GFS)」は、業界内でも目新しい体験を提供している。
コロナ禍でリアル店舗に新たな課題
今回のリニューアルのきっかけとなったのは、コロナ禍での消費者の行動変容だ。平山マネージャーは「GFSはイノベーションを起こす場所で、内容のアップデートは必要だと感じていた」と語る。「非接触が求められたコロナ禍では、セルフでできる事が必要とされて、ますますデジタルが必要となった。セルフで非接触という点は、この体験とマッチしている」。
さらにプログラムは商品を売るための内容ではないことも特徴だ。体験中は「アルティミューン」の香りを使用したり、体験後にGFS内で購入できるアロマオイルを紹介したりという部分はあるものの、明確な販売同線は設けていない。あくまでも体験を提供するのが趣旨なのだ。
オンライン購買が拡張する中で、リアル店舗の活用法はコロナ以前から課題だった。さらにコロナ禍では外出が減り、都市部への移動も減少傾向にある。都市部のカウンター販売を中心に展開する「SHISEIDO」にとってはお客と直接接する機会も減ることになる。少ない体験の中でより深く、良い体験をしてもらうことはどのブランドにとっても大きな課題だ。
「個人的な意見ではあるが、消費者は体験重視になってきていると感じる。店舗では話すこと、触ること、身体をつかうことなどで新しい発見や情報を得られる。オンラインとは異なる情報だ。その流れがコロナ禍でますます強まったのではないか」(平山マネージャー)
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