ベックスコーヒーに「月27.7回」も! JR東日本のサブスクは、どのように使われたのか:「実証実験」の結果(3/4 ページ)
7月から8月にかけて、JR東日本がサブスクを展開していた。カフェを利用できたり、そばのトッピングができたり、シェアオフィスを使えたり。結果、消費者はどのように使っていたのだろうか。データを見ると、おもしろい結果がでていて……。
新たなビジネスが生まれるかも
駅に来て、コーヒーを飲んで、自宅に帰る人もいる。しかし、休みの日にわざわざ駅に足を運ぶことを考えると、“ついで買い”需要が生まれたのではないだろうか。コーヒーを飲んだあとに服を買ったり、日用品を買ったあとにコーヒーを飲んだり。今回の実証実験ではデータをひもづけていないので、利用者の“前後の購買行動”は分からないが、そうした情報を分析することができれば、新たなビジネスが生まれるかもしれない。
カフェ利用にあたって、気になることもある。常連客の行動だ。「サブスクを始めた。でも利用者は常連客ばかり」となれば、お客が“カニ歩き”をしただけで、店側にとっては利益率を圧迫することになる。この疑問に対して、「利用者の8割ほどは新規客でした。カフェをよく利用されているお客さまがサブスクを使われるのかなと思っていましたが、想定よりも少なかったですね」(市原さん)
繰り返しになるが、9杯飲めばモトがとれる。週に2〜3回利用していれば「サブスクを利用しようかな」と考えるはずだが、データを見る限り、そうした人は少なかった。十分にモトがとれるのであれば利用するけれども、ちょっとおトクかなといった程度であれば、「ま、いいかな。都度払いでいいよ」といった人が多かったのかもしれない。
また、JREパスポートを利用するあたって、購入後に定期券情報などを入力しなければいけないので、「ちょっと面倒だな。これまで通りでいいや」といった人も多かったのかもしれない。
それにしても、なぜJR東日本はサブスクに乗り出したのだろうか。背景に「Beyond Stations構想」がある。新型コロナの感染広がりを受けて、鉄道会社は大ダメージを受けた。定期券を使わないビジネスパーソンが増えていったわけだが、JR東日本はなにもしないわけにはいかない。生活様式や鉄道の役割が変化していく中で、駅を“つながる”暮らしのプラットフォームに転換していくことを考えていて、その中の一環として、今回のサブスクが行われたのだ。
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