サントリーの「ほろよい」はなぜ91種類もあるのか 商品開発のキモは2つ:週末に「へえ」な話(3/4 ページ)
サントリーの「ほろよい」が売れている。低アルコールのRTD市場でトップを独走しているわけだが、なぜ多くの消費者から支持されているのか。開発の背景を取材すると、2つのキーワードが浮かんできた。
「冷やしパイン」が売れている
ところで、91種類の中で、最も売れたフレーバーは何か。10年に発売した「白いサワー」である。ブランドを代表する存在で、スーパーやコンビニの棚を見ても、だいたい並んでいる。
では、期間限定のフレーバーはどうか。14年から毎年夏に販売している「冷やしパイン」がよく売れているそうだ。ふーむ。個人的にパイナップルは好きだが、どうもしっくりこない。夏に販売するのであれば「もも」ではダメなのだろうか。夏のフルーツ調査で、好きな果物を聞いたところ、やはり「もも」がトップ。ちなみに、「パイナップル」は6位である(第一紙行調べ)。「もも」は定番商品として販売しているので、そこは納得できるが、なぜパイナップルなのだろうか。
ブランド担当の三枝遼太郎さんに聞いたところ「『ほろよい』の商品開発にあたって、2つの基準があります。1つは『間口の広さ』、もう1つは『ワクワクするかどうか』です。この2つを満たしている商品は、売れる傾向があるんですよね」という答えが返ってきた。どういうことか。
1つめの「間口の広さ」は、たくさんの人にそのフレーバーからうれしさを感じ取ってもらえるかどうかがポイントになるという。多くの人にその商品を手にとってもらいたいので、その気持ちはよーく分かる。ただ、「間口の広さ」を深追いすると、「じゃあ、レモンでいいでしょ」「ライムもよいよ」といった話になる。新しいフレーバーを出しても、「どこかで飲んだことがあるなあ」と目新しさに欠け、普通の味ばかりになってしまう。
もう1つの「ワクワク」を深追いすると、奇をてらった商品になる危険性がある。発売当初は物珍しさもあって売れるものの、しばらくすると人気が低迷する。飲んだ人からは「まあ、味は悪くないけど、二回目はないかな」といった答えが返ってくることも。つまり、リピーターを獲得できないまま、フェードアウトしてしまうのだ。
関連記事
- キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。 - スーパーでよく聞く「ポポーポポポポ」の“ミニ”が完売! 開発秘話を担当者に聞いた
スーパーで「ポポーポポポポ」のメロディーをよく耳にする。あの音を流しているのは「呼び込み君」というアイテムで、群馬電機が開発している。このたび「呼び込み君」のミニトイが登場して、予約数が殺到しているのだ。開発を手掛けた青島文化教材社の担当者に、裏話などを聞いたところ……。 - ベックスコーヒーに「月27.7回」も! JR東日本のサブスクは、どのように使われたのか
7月から8月にかけて、JR東日本がサブスクを展開していた。カフェを利用できたり、そばのトッピングができたり、シェアオフィスを使えたり。結果、消費者はどのように使っていたのだろうか。データを見ると、おもしろい結果がでていて……。 - トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?
首都圏のオフィスで、ある「実証実験」が行われた。トイレの個室に「他の個室の使用状況」と「滞在時間」を表示したところ、どういった効果があったのだろうか。システム開発を手掛けているバカン社の河野社長に話を聞いたところ……。 - 表参道に「IoTゴミ箱」を設置して1年、ゴミはどうなったのか
2020年10月、表参道の歩道に「IoTゴミ箱」が登場した。あまり聞きなれない「IoTゴミ箱」とは、どんな特徴があるのか。また、1年ほど運用してみて、どのようなことが分かってきたのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.