日産が提案する次世代のEVとは? 5年間で2兆円を投資:若者の車離れに一石(3/4 ページ)
トヨタ自動車がEVの世界販売台数を2030年に350万台とする目標を発表した。米テスラをはじめとして世界の自動車メーカーは一気に「EVシフト」を進めている。EVの先駆けである日産リーフを発売した日産自動車は、この潮流をどう見ているのかを取材した。
EVシフトとカーボンニュートラル
日産は21年11月にNissan Ambition 2030を発表した。今後5年間で約2兆円を投資し、23種類の電動車を投入する。そのうち15車がEVだ。そして、日産とインフィニティの両ブランドで、世界市場において電動車の比率を50%以上にする目標を掲げた。その実現のため26年までにEVとe-POWERを合わせて20車種を販売する。
まずは、この20種類の割合はどうなるのか。世界的な潮流としてEVシフトが鮮明になった。日産はリーフでEVを販売しているとはいえ、現在はe-POWERの方がメインのパワートレインといえる。
「これまで日産はゼロ・エミッション社会の実現を目指し、他社に先駆けてEVの普及促進に取り組んできましたが、電動化に向かうスピードは世界の地域ごとに異なります。日産は電動化を推進しながら、市場ごとにお客さまのニーズや市場の実情にあわせて戦略を立てています。お客さまに幅広い選択肢を提供するとともに、電動化への移行を加速していきます。また、CO2削減に向け、さらなる技術革新を進めていきます」
また、日産では28年までに全固体電池のEVを販売することも明らかにした。全固体電池はトヨタが開発をリードしてきたこともあり、ここに来て一気に日産が巻き返しにかかった印象だ。
「全固体電池は、エネルギー密度が高く、それによりバッテリーの小型化、薄型化が見込まれるので、ピックアップトラックなど、大型車両のEV化が実現可能となります。また、充電速度の短縮も期待できます。22年にパイロットプラントの建設に着手し、24年から試作を開始する予定です。そして28年からの量産を目指していきます」
第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)でCO2の排出抑制が大きな課題となった。EVからは確かにCO2は排出されないものの、EVを製造する過程で多くのCO2が排出される事実がある。
「日産は50年までに事業活動を含め、車のライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現する目標に取り組んでいます。生産分野では新たな生産コンセプト『ニッサン インテリジェント ファクトリー』により、生産効率を向上させるイノベーションを推進すると同時に、工場で使用するエネルギーと材料の効率向上を図ることで、カーボンニュートラルを目指していきます。
具体的には工場設備を全面的に電動化します。また、使用する電気を全て再生可能エネルギーで発電された電気と、代替え燃料を使って燃料電池で自家発電した電気に替えていくことによって、生産におけるカーボンニュートラルを実現していきます」
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