認知度50%から国内シェア1位へ、サブスク殺到のデロンギ・ジャパン社長の戦略:家電メーカー進化論(7/8 ページ)
コーヒーメーカーやオイルヒーターなどで知られるイタリアの家電メーカー、デロンギ。認知度50%、ダウントレンドの売り上げという状況から、国内の電気ストーブやコーヒーメーカー市場で金額シェア1位となるまでの道のりを、日本法人のデロンギ・ジャパンの成長を牽引した杉本敦男社長に聞いた。
各カテゴリーで金額シェア1位を目指す
日本市場においてデロンギのオイルヒーターは、04年以来17年間、販売台数・売上1位(04年1月〜20年12月数量・金額シェア、独立調査機関調べ)。またコーヒー機器分野でも、日本と世界各国で売り上げ1位(20年1月〜12月世界46カ国金額シェア)を達成している。
杉本氏は、現地法人がシェア1位を獲得するためにすべきは、市場を作ることだと語る。商社や代理店なら、商品を持ってきて売るだけでもいい。しかし、現地法人はローカルのニーズを聞き取り、商品企画をし、付加価値を付けていかなければならない。
「単にイタリア製やドイツ製というだけでは、お客様に喜んでもらえません。やはり商品企画からやらないと、現地法人に存在価値はないと思っています。もちろん、イタリアと同じ製品を持ってきていることもあります。例えば、全自動コーヒーマシンは世界共通の商品ですが、小さい5杯用のコーヒーメーカーなど、日本だけの商品もあります」(杉本氏)
市場を作っていくには、シェア1位になって市場をけん引する必要がある。リーディングカンパニーになることが成長のために欠かせないのだ。そのために大切なのが、セグメントの定義だという。例えば「オイルヒーター」なら、その小カテゴリーではなく「電気ストーブ・ヒーター」という大きなカテゴリーでのシェア1位を狙っていく。
「オイルヒーターという小カテゴリーだと90%近いシェアがあります。ただお客様は暖房器具として見ていますので、そのセグメントで1位を目指したい。またコーヒー器具も、エスプレッソマシンの場合、競合がほとんどいないので金額ベースでデロンギが8、9割のシェアをもっています。
ではもっと大きいコーヒーマーケットではどうでしょうか。そのカテゴリーでは、フィルターコーヒーやインスタントもライバルです。ライバルを使っている、飲んでいるお客様にどうコミュニケーションしていくか、その目標設定が大切だと考えています」(杉本氏)
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