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ハラスメント? マネジメント? マネジャーは「部下のプライベート」にどこまで踏み込むべきか事例で解説(2/5 ページ)

リモート化の進展などで前景化しているコミュニケーション問題。例えば、上司としては、どこまで部下のプライベートに踏み込んでよいものか、悩ましいものだ。本記事では、人事領域に長年携わってきた筆者が目にした事例を基に、この問題を探っていく。

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ケーススタディー(1)部下の転職を察知できなかったケース

 ある会社の営業部でマネジャーを務めるAさんには、優秀な部下であるBさんがいました。Bさんは新卒で入社し、7年目。頭脳明晰で、仕事の覚えも早く、どんな仕事でもまじめに取り組んでおり、営業成績も常にトップクラスでした。そして、営業の仕事以外にも多くの社内プロジェクトに関わりリーダーを務めていました。

 Bさんは社内でも評価が高く、Aさんは経営陣から「B君は将来の幹部候補なのでしっかり育成を頼むぞ」といわれているほどでした。

 しかしある日、Bさんから突然、退職の申し出がありました。AさんはBさんと何度か面談したようなのですが、Bさんは「来月末で退職する」の一点張り。困ったAさんは、筆者の元へ相談に来たのです。


画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 筆者はまず、Bさんの勤務表データを確認してみました。すると、ここ数カ月でBさんの残業は激減していて、ほぼ定時で退社していたことが分かりました。

 筆者はAさんに「ここ数カ月でBさんに変わったことはありませんでしたか?」と聞いたのですが、Aさんは「部下のプライベートなことは聞かないので、自分は何も知らないです。残業削減は会社で奨励しているし、仕事も問題なくこなしていたので、何の問題もないと思っていました」といいました。

 その後、筆者はBさんと面談をし、数カ月定時で帰っていた理由を質問しました。すると「ずっと転職活動をしていました。今よりもっとチャレンジできる会社からオファーが来たので、転職することにしたのです」といいました。

 続けてBさんは「今の会社に不満はありませんが、社内で将来のキャリアを相談できる人がいなかったので、社外のキャリアカウンセラーに相談をしていました」とも話しました。

 上司が遠慮して部下のプライベートにまで踏み込めなかったことにより、この会社は、将来有望な若手社員のBさんを失うことになってしまったのです。

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