並行在来線会社名「ハピラインふくい」 未来に“福”はやって来るのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/8 ページ)
2022年、日本の鉄道は開業150周年を迎える。長い歴史ゆえに保守的な考え方に支配されやすい。しかし第三セクター鉄道会社は「道南いさりび鉄道」「IGRいわて銀河鉄道」など、保守的な考えを破ってきた。そして22年7月、新たなキラキラネーム会社が誕生する。「株式会社ハピラインふくい」、愛称「ハピライン」だ。
決定は「会社名」と「会社の愛称」、路線名は未定
22年7月、新たなキラキラネーム会社が誕生する。「株式会社ハピラインふくい」、愛称「ハピライン」である。
この名前だけでは、何をする会社か分からないだろう。印象としては「福井県にある、なんだか楽しそうな会社」だ。業務はテレビショッビングだろうか、いやいや新しいネット関連企業、携帯電話新規参入、特養介護施設かもしれない。どれも違う。鉄道事業者だ。
会社はすでに設立されている。現在の社名は「福井県並行在来線準備株式会社」で、7月から「株式会社ハピラインふくい」になる予定だ。第一種鉄道事業者として、北陸新幹線が金沢〜敦賀間を延伸開業するときに、JR西日本から分離される北陸本線の福井県内区間を引き受ける。
会社名は公募で決めた。応募期間は21年12月1日から22年1月16日。報道によると応募総数は1万6709件。学識経験者など社外の有識者10名が3回の検討会を開催し、大真面目に議論して5案に絞り、さらにケンケンガクガクの議論を重ねた結果だと思われる。それが「ハピライン」だ。(疲れちゃったのかな……)。
漢字10文字から「かな・カナ」8文字へ、表記が後株から前株に変わったことも興味深い。事業内容が分かりやすい会社名は後株、分かりにくい会社は前株にして、まずは法人であることを伝えて信用してもらう。そんな傾向がありそうだ。ハピラインはイメージとして軽すぎると考えたかもしれない。
ちなみに本サイトを運営する会社は「アイティメディア株式会社」だ。業務内容が分かりやすい。私の古巣は「株式会社アスキー」で、それだけでは何の会社かさっぱり分からない。営業電話をかけたら中華料理屋と間違われたこともある。それは銀座アスターだってば。おっと話が脱線した。
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