浅草で142年続く「すき焼き店」を事業承継 老舗が決断に至った背景とは?:コロナ禍で閉店(5/6 ページ)
外食事業会社WDI GROUPは、創業142年を誇る浅草のすき焼き店「ちんや」の暖簾(のれん)を承継した。新型コロナウイルスの余波が経営を直撃し、21年8月に閉店を余儀なくされた。しかし、伝統あるすき焼き文化を絶やしてはいけないとWDIが事業を受け継ぎ、場所を移転して再オープンすることとなったのだ。
サステナビリティ経営を目指す
現時点ではまん延防止措置は解除になったものの、ウィズコロナの中で感染を気にしながら食事をする状況は続き、決して楽な経営環境ではない。
清水社長はコロナ禍での苦労を教えてくれた。
「この物件は21年10月くらいにみつけたので、その時は、この先はコロナが収まっていくと思っていました。緊急事態宣言も明けたのでリバウンド消費でビジネスも回復しているところでしたし。22年はちんやをオープンさせる計画だったので期待を大きく持っていたところにオミクロンがきました。まん延防止の中でどうやってお客さまに喜んでもらえるかを模索してきました」
その上で決意を語る
「今年、WDIが外食産業に進出して50周年を迎えます。1号店は六本木のケンタッキーフライドチキンなのですが、外国のブランドを輸入して複数店舗化するビジネスをしてきました。その中で『ホスピタリティ』『本物志向』『グローバル』の3つの串を差しながらブランドを増やしてきました。
この50年を機に、今度は『何の元年にしようか?』と考えたときにサステナビリティ経営をしていこうとなりました。ちんやの経営はまさにそれだと思っていまして、車、半導体ではない日本の勝ち筋が「食」だと信じています。これをいかに経済力につなげていくのかです。
ちんやという、長い歴史のある食文化感満載の老舗を絶えさせてはいけません。今後、違う老舗でもちんやと同じようなケースが出てくるかもしれませんが、このケースを1つのロールモデルとしていきたいですし、サステナビリティ経営の第一歩としていきたいと思っています」
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