「日曜定休」を目指す三井不動産 本格導入を先延ばしにするワケは?:業界の常識を破る(2/5 ページ)
水曜を中心に平日休みが定着している不動産業界だが、業界大手の三井不動産では、いち早く“業界の常識”を破り「日曜定休」のトライアルを実施している。現在、本格導入には至っていないが、状況はどうなっているのか。三井不動産レジデンシャルの担当者に話を聞いた。
「日曜完全定休」か「シフト制の土日休み」で実施
21年9月から22年3月まで7カ月のトライアルを実施したのは、パークコート白金長者丸、パークホームズ(大倉山ガーデン、志村坂上 ザ テラス、登戸ステーションアヴェニュー)の4カ所だ。
そのうち2カ所では、社員が一斉に日曜に休む「日曜定休」を実施、残りの2カ所では、営業所は閉めずに、社員が土日のどちらかを交代で休む「シフト制」を実施した。
顧客との接点を減らさない工夫として、平日にオンラインでの物件説明や商談を積極的に利用するほか、これまでは対面でのみ提供していた情報をできる限りオンラインのやり取りで開示するようにしたという。
トライアルが始まる以前にリモートワークを導入しており、これによる業務効率化も日曜定休の後押しにつながったようだ。
「営業社員には、最初こそ『対面でないとお客様の機微を感じ取るのが難しいのではないか』といった心理的な抵抗感があったようですが、慣れることで話が弾むようになっていきました。現在ではかなり浸透していて、対面と遜色(そんしょく)ない対応ができていると認識しています」(蛭田氏)
これまで大きなトラブルなどはないそうだが、「週末に訪れたい」という顧客の中には、その週に予約が取れず、翌週に持ち越すなどの調整はあったという。
「例えば、日曜定休によって買いたい物件が売り切れてしまったとなれば、当然トラブルにつながると思いますが、そういったことが発生しないよう工夫しました。そのため、予約を遅らせても、お客様の理解が得られています」(蛭田氏)
売り上げの変化においても、トライアルを実施した4カ所の営業所を含め、全体的に販売状況がいい状態が続いているという。そんな背景を踏まえ、「現状、日曜定休についてのネガティブな評価はない」と蛭田氏は話す。
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