東京・銀座にダイソー、ワッツ、スリーコインズが続々出店 採算は取れるのかシミュレーションしてみた:磯部孝のアパレル最前線(5/5 ページ)
2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大から2年がたつ。新型コロナウイルスは街の景色をもすっかり変えてしまった。東京・銀座も例外ではない。現在でも日本一高額な土地の代表格である銀座に、現在100円均一ショップの出店が増え始めている。
いくらダイソーの国内店舗数が3620店舗(21年2月末)を数えても、興味や関心を持たない人がわざわざ出向いて買い物を楽しむ事はない。日ごろの買い物の大半は、経験値に基づいた習慣による場合が圧倒的に多いからだ。
今まで出店してこなかったロケーションに出店する意図とは、そこでしか出会えないお客にプチプラ雑貨の世界観と魅力を味わってもらい、体験後は近くの店舗も利用してもらうシナジー効果を狙ったものだろう。
全世界的にコロナと共存する「ウィズ・コロナ」ライフが定着し、以前のような経済活動に戻って「円安・日本」を楽しんでくれるインバウンド客が訪れれば話も変わってくるかもしれない。ただ、ミャンマー内戦、ウクライナ戦争、上海ロックダウンと世界も以前の姿とは程遠く感じてしまうのだが……。
いずれにしても現在の銀座というロケーションで、プチプラ雑貨店を黒字化運営させるのは難しいと思う。採算は“広告宣伝費”と割り切って運営していく考え方も当然ある。その場合、投資額に見合った波及効果が既存店にどう影響していくのか。コロナ禍によって選手交代した銀座の“ルーキー・プレイヤー”の登場として、プチプラ雑貨店のこれからの活況を見守ってみたい。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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