東京・銀座にダイソー、ワッツ、スリーコインズが続々出店 採算は取れるのかシミュレーションしてみた:磯部孝のアパレル最前線(4/5 ページ)
2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大から2年がたつ。新型コロナウイルスは街の景色をもすっかり変えてしまった。東京・銀座も例外ではない。現在でも日本一高額な土地の代表格である銀座に、現在100円均一ショップの出店が増え始めている。
土地の値段の高い銀座で採算は取れるの?
しかし気になるのが「日本一土地の値段の高い銀座で、100均を含めたプチプラ雑貨店が多数出店して採算は取れるのか」という点だ。あくまで採算度外視のプロモーションショップとしての位置付けなのだろうか。概算にはなるが、簡単にシミュレーションしてみた。
テナント料は場所や階層によって異なるので単純計算は出来ないものの、店舗賃料相場情報サイトの「店舗相場TOWN」には、中央区基準階の平均坪単価が2万9005円とある。
仮に140坪の売場面積であれば、月額約400万円、497坪なら月額1440万円の家賃となる。問題は客数と客単価となるが、日用品をより多く取りそろえているところから、コンビニエンスストアの1店舗当たりの平均集客数を参考にしてみた。
調べてみると、セブン-イレブンの1日の平均客数は908人(21年2月期、セブン‐イレブンの横顔より)、ローソンは約660人(ローソンエンタテインメント広告掲載ガイド 2021ver.より)とある。
そこで、平均で1日800人が来店すると想定した場合、140坪の売り場ならば1人当たりの客単価は5000円、497坪の売り場であれば1人当たり1万8000円の客単価が最低でも必要となる計算だ。
これは、あくまで相場平均賃料ベースに、コンビニエンスストア並みの来店客が見込めた場合を計算したもので、実際には、これに人件費と商品代が含まれてくる。プチプラ雑貨店の商品単価は100円、300円、500円、700円のプライスラインで、今回算出した1人当たりの平均客単価(5000円、1万8000円)を稼いでいくのは、いくら銀座といえども並大抵ではないのではないかと思ってしまう。
では、なぜそこまでして銀座に出店させる意味があるのか。それは、既存の出店ロケーションのままでは集客できない新たなお客と接点を持つためだと推察する。
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