ネットカジノに消えた4630万円 「仮想通貨で隠蔽」は可能なのか?:本田雅一の時事想々(3/4 ページ)
阿武町が、総額4630万円の給付金を一人の男性に誤送金してしまった問題が連日、報道されている。容疑者はネットカジノでお金を使い果たしたとされている一方で、使わないまま資産を隠した可能性も考えられる。ネットカジノを経由して、マネーロンダリングをすることは可能なのだろうか。ITジャーナリストの本田雅一氏が考察する。
追跡が困難になる、仮想通貨のウォレットとは?
公的に認められた金融機関に口座は、マネーロンダリングを防ぐためのさまざまな規制のもとに運用されている。ネットカジノに一度お金をつぎ込んだとしても、日本の口座に戻していれば、いずれはバレてしまう。海外の銀行口座は簡単には作ることができない。
しかし、仮想通貨のウォレットならば簡単だ。
世界中にたくさんのウォレットサービスがあり、その中にはもちろん日本の事業者もある。さらに、取引所を介さず、自身でスマホやPC、ソフトウェアを使って仮想通貨を管理するプライベートウォレットを作ることもできる。
ウォレットには仮想通貨を保管しておくことが可能だが、プライベートウォレットの場合、個人情報を何ら登録せずに作成と保有が可能なため、極めて匿名性が高く、追いかけることは困難だ。
ネットカジノは、すぐに大金を振り込んでゲームを続けたいという顧客に迅速に対応するため、仮想通貨の速やかな送金処理が可能になるよう、オンラインでウォレットと接続しているものが多い。ラスベガスのカジノに出金上限の高いATMマシンが置かれているようなものだ。
もちろん入金だけではなく、出金もできる。つまり海外ネットカジノに送金するところまでは容易に追跡できるが、そこから仮想通貨のウォレットに送金されると追跡は困難になる。
ネットカジノからの出金時に指定するウォレットとして、プライベートウォレットを使った場合、ますます追跡は困難になる。ウォレット自体に匿名性があるため、取引を一つずつ追いかけるしかない。
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