丸亀製麺が「店舗のない丸亀市」で地方創生に取り組む真意 トリドール粟田社長に聞く:過去最高の営業利益(3/3 ページ)
コロナ禍で苦戦する飲食業界で好調なのが、「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングス。丸亀市と地域活性化包括連携協定を締結した。粟田貴也社長兼CEOに、丸亀市と協定を締結した真意を聞いた。
地域と市民に寄り添った共創的な活動を
丸亀市の文化観光大使に粟田社長兼CEOが就任したことによって、トリドールHDと丸亀市の関係は深まっていく。前述したように、丸亀市の観光宣伝活動に留まらず、地域の文化、スポーツ、子ども食堂への支援など幅広い。その延長線上で締結したのが、今回の地域活性化包括連携協定だ。
「共創型地方創生」をテーマにした今回の協定と、自治体と企業が結ぶ従来の協定との違いを、粟田社長兼CEOは次のように強調する。
「地方創生はこれまでも多様な取り組みが全国各地で繰り広げられてきました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が、今日の地方創生の考え方にも影響を及ぼしました。ニューノーマルや居住地選択の変化、DX、BCPのさらなる必要性、サステナブルにSDGsなど、常に新しさが迫られ、求められています。
地方創生に自治体と企業が手を取り合う官民の構造が生まれ、いつしかそれが当たり前のような仕組みになっていますが、その当たり前が固定概念を生み、新しい発想を生まれにくくしているのではないかと思います。
そこで私たちは今回、丸亀市さんと協定を結ぶにあたり、原点を振り返りました。共創型地方創生の主役は、地域や住民です。そこに自治体、企業、さらに丸亀製麺のファンや地元の企業など熱意ある第三者が加わって、出会い、共鳴することでイノベーティブな発想や感動が生まれる。共創的で持続的な活動こそが、私たちが目指す共創型地方創生のあり方です」
離島の讃岐広島に移住したトリドールHDの社員は、消防団に入り、地域の協議会にも参加する。新たな価値の創造に取り組む一方で、若者がいなくなったことによって神輿が担げなくなった地域では他の社員も参加して、祭りの風景を残していく。市民が抱える課題の解決に一緒に取り組むことで、地域の原風景を残していくことに力を入れている。
丸亀製麺は22年3月期末で、全国に832店舗を展開。海外事業では、英国、米国、アジアの国々などに644店舗を持つ。28年3月期には海外の店舗数を4000店舗に広げる計画だ。
その一方で、ビジネスを展開していない丸亀市で包括連携協定を締結した思いを、粟田社長兼CEOは「丸亀市は特別な場所」と表現した。
「私にとっても丸亀製麺にとっても、丸亀市は原点回帰できる、初心を思い出させてくれる特別な場所です。讃岐うどんという日本の文化は、世界中の方々に喜んでいただけると確信しております。
讃岐の文化や原風景を世界に広げていきたい。今後は世界中に丸亀の名前を広げていくこと、そして讃岐うどんを広げていくことを大きな命題にして、食の感動を1人でも多くのお客さまに提供するため、引き続きチャレンジしていきます」
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